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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

北米産木材、対日2%高 4〜6月 コスト転嫁強まる 住宅販売、低調続く恐れ

 ツーバイフォー(2×4)住宅の壁などに使う北米産木材の4〜6月期の対日価格が1〜3月期に比ベ2%高に決まった。上昇は2四半期ぶり。カナダの山火事の余波で供給量の減少が続く中、現地企業からコスト転嫁の値上げ圧力が強まった。日本にとっては木造住宅の需要が振るわない状況で住宅価格の押し上げ材料となれば、需要回復が遅れる恐れがある。  ツーバイフォー住宅の壁などに使うカナダ産SPF(トウヒ・マツ・モミ類)は、売り手であるカナダの製材会社と買い手の日本の商社などが四半期ごとに価格交渉する。4〜6月期の日本向け規格(Jグレード)価格は1千ボードメジャー(BM=2.36立方m)あたり595〜605ドル(海上運賃込み)前後と1〜3月期に比べ10ドル(2%)高い。値上がりは2023年10〜12月期以来だ。  カナダでは23年、異常気象をうけ西部のブリティッシュコロンビア州などで広大な森林が焼けた。火事は収束したが、「伐採できるエリアが限定され、良材の確保が難しくなっている」(現地サプライヤー)。製材量が限られる中、製材会社はカナダ経済のインフレで増えた人件費や運送費、電気代などのコストを木材価格に転嫁する動きを強めた。  紅海航路の混乱も影響している。イエメンの親イラン武装組織フーシによる商船への攻撃が活発になり、欧州産木材をアジアに運ぶコンテナ船の多くが紅海経由を避け、喜望峰経由のルートに変えた。欧州産木材は航海日数が延び運賃が上乗せされたことで価格が上昇。日本側の需要の一部が北米材にシフトし、北米のサプライヤーにとって対日交渉が有利になった。  7〜9月期もカナダ側のサプライヤーは値上げを求めてくる見込みだ。カナダ国内では集合住宅の建設が増えており、木材の荷動きは堅調という。夏の暑さが厳しくなれば山火事発生のリスクもあり、不足感が強まる可能性もある。  カナダ産木材の主な輸出先である米国がカナダ産木材に対する不当廉売(アンチダンピング)関税率を引き上げる見通しも浮上している。商社の担当者は「米国向けの価格の引き上げと同時に、日本向けの対日価格も上げる公算が大きい」とみる。  米業界紙のランダム・レングスによると、主流のツーバイフォー製材品「No.2&べター」が3月下旬に1千BMあたり463ドル。前年同期の同360ドルに比べて3割高い。  日本では住宅に使う木材の需要は冷え込んでいる。国土交通省がまとめた1月の木造住宅の新設着工戸数は前年同月を2.3%下回った。22年4月以降マイナスが続く。新型コロナウイルス下の在宅勤務の増加を背景に一時盛り上がった住宅需要が落ち着いてから、浮揚のきっかけをつかめていない。  木材価格の上昇は住宅の販売価格の押し上げ材料となる。鉄鋼などの建設資材が上昇するなかでも、木材価格は21年ごろの世界的な木材高騰局面が落ち着いて以降は下落傾向だった。しかし、住宅建築が鈍いなかでここにきて下げ止まりから再び上昇基調になれば、住宅需要の低迷が続く要因になる可能性がある。今後の市場環境によっては、体力が弱い中小住宅メーカーが集約されるとの見方もある。

日経 2024年03月27日朝刊

 

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