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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

単身高齢者、家借りやすく 家賃保証業者 国が認定 空き家430万戸 活用促す 今国会で法改正

 所得の低い単身高齢者らも住宅を借りやすくなる仕組みが整備される。政府は借り手が家賃を滞納した場合に立て替える保証業者を認定する制度をつくる。今は保証を断られるケースが少なくなく、大家が貸し渋る要因となっていた。全国に430万戸ある賃貸空き家の活用を促す。  今の通常国会に住宅セーフティーネット法や高齢者住まい法などの改正案の提出をめざす。  高齢者や子育て世帯、低所得者、障害者などは法律で住宅の確保が難しい「要配慮者」に位置づけられている。  賃貸物件の所有者は、家賃の支払い能力や孤独死などへの不安から要配慮者との契約を敬遠しがちだ。  法改正で滞納リスクを減らし、大家と要配慮者が安心して住宅を貸し借りできるようにする。家賃滞納が生じた場合などに、一定範囲で立て替える家賃保証業者を国が認定する制度を創設する。  家賃保証は信販系や不動産関連系の業者が多い。業界団体の調査によると全国に250社ほどある。法令順守などの基準を満たして国交省に登録した業者は99社あるが、身寄りのない高齢者らの保証を断る業者もあった。  新たな認定制度では、原則として要配慮者の保証を引き受けることや、緊急連絡先を親族など「個人」に限定しないことを認定条件にする。国がお墨付きを与えて、入居者が安心して使えるようにする。  家賃保証業者の主な収入源は入居者が払う保証料だ。契約時は家賃の半月分を徴収し、2年目以降は年1万円程度のケースが多い。滞納があれば一定の範囲で保証業者が家賃を立て替える。  新制度の認定を受けた保証業者は、住宅金融支援機構が提供する保証業者向け保険の補填率を一部の物件では高くしてもらえる。保証業者は、リスクを抑えつつ家賃保証サービスの拡大を見込める利点がある。  都道府県が指定する「居住支援法人」の機能も高める。債務保証や相談業務に加えて、入居者から委託を受ければ死亡後の不用品など残置物を処分できるようにする。  入居時の相談から入居中の見守り、死亡後の対応まで一貫して要配慮者を支援する。身寄りのない高齢者の遺留品をどう扱うかという課題があった。  指定法人が、大家と協力して入居者の日常の安否確認や見守りなどを提供する仕組みもつくる。「居住サポート住宅」として市区町村が認定し、改修費などを補助する。  借り手が契約中に亡くなった際の賃借権の扱いも整理する。賃貸契約が相続されないようにする特例の使い勝手をよくして、貸し手の事務負担を軽くする。  単身高齢者は2030年には20年よりも2割ほど増えて800万世帯に迫るという推計がある。住宅数に占める持ち家の割合は低下しており、賃貸住宅に住みたいという要配慮者のニーズは高まることが予想されている。  政府は法改正によって住宅を貸しやすい環境を整え、借り手がいない賃貸空き家の活用につなげる狙いもある。全国の空き家849万戸のうち半分ほどが賃貸用の住宅だ。  両親などから住宅を相続した所有者が賃貸をためらえば、放置されて空き家となる可能性が高まる。管理の行き届かない空き家の増加は、景観の悪化や老朽化で周囲に危険を及ぼしかねず、賃貸市場で流通させる重要性は高まっている。

日経 2024年02月21日朝刊

 

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