不動産投資信託(REIT)相場が好調だ。26日の東京市場で総合的な値動きを示す東証REIT指数が前日比0.8%高の1,900.28となり、昨年12月以来7カ月ぶりに1,900台を回復した。日銀の政策修正やオフィス市況の先行きへの警戒感が上値を抑えてきたが、足元ではオフィス稼働率が回復しつつあり、過度な不安が後退している。
REIT市場で主力のオフィスが回復をけん引している。用途別REIT指数で5月末比の騰落率をみるとオフィスが5.1%高と、住宅(0.5%高)や商業・物流(2.4%安)を大きく上回っている。26日にはオフィス特化型の日本ビルファンド投資法人が前日比1.3%高と6営業日連続で上昇したほか、ジャパンリアルエステイト投資法人も2.1%高となった。
日本ビルファンドが発表するオフィスの月次稼働率は6月に97.5%となり、昨年末の96%台から回復している。SMBC日興証券の鳥井裕史シニアアナリストは「オフィス市場が底入れし改善に向かっているとの見方が強まった」と説明する。
日銀の政策修正観測が後退していることも上昇の支えだ。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネージャーはREIT相場について「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)撤廃の可能性も織り込みながら上昇してきており、ある程度の金利上昇に耐性がついてきている。急な政策修正があっても一時的な下落で済みそうだ」とみる。
保有資産を時価評価し、負債を引いて計算するNAV(ネット・アセット・バリュー)に対する時価総額の大きさを示す「NAV倍率」は、目安となる1倍を下回る銘柄も多い。NAV倍率は株式のPBR(株価純資産倍率)に相当する。割安感に着目した買いも入り、相場を支えている。
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