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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

住宅集成材、3年ぶり上昇 欧州産原料の高騰を転嫁 7月流通価格 建築需要冷やす恐れ

 木造住宅の梁(はり)や柱に使う集成材の流通価格が約3年ぶりに上がった。東京地区の流通価格は直近までに比ベ4〜6%高い。欧州から調達する原料板が値上がりし、国内の木材メーカーがコストを転嫁した。木造住宅の建設が低迷するなかで建築コストに反映されれば、住宅需要を一段と冷やす恐れもある。  集成材は「ラミナ」と呼ばれる引き板を貼り合わせて作った木材。樹木から切り出した無垢(むく)の木材に比べると品質が安定しているとされる。  集成材の東京地区の問屋卸価格は7月時点で、梁に使う集成平角(4m×10.5cm×30cm)が1立法m8万2,500円(中心値)と6月比5,000円(6%)上がった。柱用の集成管柱(3m×10.5cm角)は1本2,550円と100円(4%)高い。  値上がりはともにおよそ3年ぶり。世界的な木材相場の高騰「ウッドショック」で上昇していた2021年秋以来となる。  日本で使うラミナはフィンランド産やスウェーデン産が多く、集成材に使うラミナは輸入品が半数以上を占める。日本の木材会社は四半期ごとに現地の製材会社と輸入価格を交渉する。  現在国内で生産する集成材は4〜6月期までに契約したラミナを使っている。主力の梁向けは1〜3月期比で13%上がった。3四半期連続の値上がりで、ウッドショックのころ以来の上昇幅だ。  欧州では高金利とインフレで住宅需要が冷え込む。現地の製材会社は原料の丸太価格や人件費、電気代などの上昇をラミナに転嫁し、減産で値上げ圧力を強めている。  原料以外のコストも膨らんでいる。集成材メーカーによると、プレカット(事前加工)会社に納める際の物流費は4月に始まったドライバーの残業規制の影響で前年同期比で約2割上がったという。接着剤も春に値上がりした。  7〜9月期の欧州産ラミナは、中心価格が1立法m当たり297ユーロ程度で決まった。4〜6月期に比ベ2.5%安く、ユーロ建てでは1年ぶりに値下がりしたが、集成材メーカーは「交渉時は円安が進んでいたため、実質的なコストは増えている」と話す。  欧州の製材所は10〜12月期に再び値上げを求める公算が大きく、メーカ−の生産コストはさらに増す可能性が高い。  国内の木造住宅の需要は低調だ。国土交通省によると6月の木造新設着工戸数は前年同月比3.3%減の約3万8,000戸。22年2月以降、ほぼ一貫して前年を下回っている。新型コロナウイルス禍の在宅志向で高まった住宅需要が一巡し、低い水準が続く。  集成材メーカーの担当者は「特に集成管柱は手ごろな国産杉などの柱材と競合しやすく、一段の値上げには時間がかかりそうだ」と説明する。

日経 2024年08月03日朝刊

 

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