オフィス仲介大手の三鬼商事(東京・中央)が9日発表した4月の東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)のオフィス平均空室率は前月比0.09ポイント低い5.38%だった。人材確保に向けた企業のオフィス移転・増床の動きが増えて低下基調が続き、供給過剰の目安とされる5%に近づきつつある。平均募集賃科は3カ月連続で上昇した。
千代田区が0.13ポイント高い3.07%、中央区が0.06ポイント低い6.10%、港区が0.22ポイント低い7.53%、新宿区が0.07ポイント低い4.93%、渋谷区が0.44ポイント低い4.33%だった。
コロナ禍からのオフィス回帰で出社率は7〜8割とされる。企業は従業員の満足度を高めるために、ラウンジや屋上テラスなどアメニティーの充実したオフィスヘ移る動きがある。オフィス面積を狭めずにゆとりを持たせる傾向も目立ち、移転拡張のほか、既に入居しているビル内で増床する動きも広がっている。
5区全体の平均募集賃料は1坪(約3.3平方m)当たり1万9,825円と、前月比5円高くなった。オフィス需要の回復を受け、オーナーも賃料を引き上げる意識が高まってきた。
オフィス仲介大手、三幸エステート(東京・中央)の今関豊和チーフアナリストは「東京だけでなく大阪でも、賃料が高くても条件のいいオフィスに移転を希望する企業が増えている。人材難のなかで従業員の満足度を高め、採用に有利に働くオフィス賃料は企業にとってコストではなく投資になっている」と話す。
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