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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

不動産買い 海外勢首位 超低金利で妙味

 日本の不動産市場で海外投資家の存在感が高まっている。2017年度上期(4〜9月)の購入額は6,572億円と前年同期比3.3倍に増加。上場不動産投資信託(REIT)の購入額を上回り、データを遡れる00年度以降で初めて海外勢が首位になった。超低金利や円安を背景に海外勢にとって日本の不動産の投資妙味が増しているためで、海外マネーの流入が過熱気味の不動産価格をさらに押し上げている。  みずほ信託銀行系の都市未来総合研究所が、企業や機関投資家の不動産取引の公表データを集計した。海外勢による17年度上期の購入額は半年ベースで最大だった14年度下期(7,820億円)に次ぐ水準。取引額全体に占める海外勢の比率は過去最高の36%に達した。  目立つのはアジア勢の攻勢だ。シンガポール政府投資公社(GIC)は9月、日本のREITと共同で東京ディズニーリゾートに近接する「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル」(千葉県浦安市)を約1,000億円で買収した。「今後も日本で質の高い物件の取得を検討する」(GICリアル・エステートのリー・コクサン最高投資責任者)という。  中国の保険大手、安邦保険集団は米投資ファンドのブラックストーン・グループから、日本全国の約200棟の賃貸マンションを約2,600億円で一括取得した。これらはブラックストーンが14年に米ゼネラル・エレクトリック(GE)の日本法人から取得した物件で、安邦が高値を提示したことで転売を決めた。  野村不動産が17年度上期に仲介した韓国の投資家による日本の不動産の購入額は約5割増えた。中でも5月の韓国大統領選の時期に購入姿勢が強まったという。同社の井口智司CRE企画推進部長は「韓国よりも政情が安定している日本に資産を移すねらい」とみる。  アジア以外のマネーも流入する。7月には米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループが、独立行政法人の「高齢・障害・求職者雇用支援機構」が保有する東日本地域の雇用促進住宅約500物件を約250億円で取得した。  海外マネーが日本の不動産に向かう最大の理由が日本の超低金利だ。投資利回りが低くても、購入資金を調達する際の借入金利がさらに低ければ運用収益を得られる。世界の不動産投資で資金を運用する海外勢は投資利回りと金利水準を国際比較。両者の差を基準に投資先を選ぶ傾向が強い。  米不動産サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドによると、高級オフィスビルの投資利回りから長期金利を引いた「利回り格差」はニューヨークやロンドンが2%前後で、香港や上海は1%を切る。一方、東京は同格差が3.2%と相対的に大きい。  昨年秋以降の円安も追い風になっている。海外勢が日本の不動産を従来より割安で買えるようになったからだ。ニッセイ基礎研究所の竹内一雅不動産市場調査室長は「日本の相対的な投資妙味が増している」と話す。  一方、従来は最大の買い手だった上場REITは投資を縮小している。17年度上期の購入額は40%減の4,453億円と、12年度上期以来の低水準となった。不動産価格が上昇し、REITにとって採算の合う物件を見つけづらくなったためだ。  米不動産サービスのCBREによると、日本の不動産の期待利回りは03年の調査開始以来の最低水準に低下。高値づかみを警戒する国内勢が購入を控える中、海外勢が投資拡大に走る構図が鮮明だ。三井住友トラスト基礎研究所の北村邦夫投資調査第1部長は「価格は過熱気味だが、資金が潤沢な海外勢の買いは当面続きそう」と指摘する。

日経 2017年10月29日朝刊

 

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