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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

日本の不動産投資、5割増に  けん引役は海外ファンド 割安感で伸び突出

 オフィスビルや物流施設など、首都圏を中心に日本の商業用不動産への投資が加速している。けん引役は海外の不動産ファンド。米国系ファンドが今後2〜3年で3,000億円強の投資を計画、米ゴールドマン・サックス・グループも運用規模を500億円に拡大する。日本の商業用不動産市場への投資額は2013年に前年比で5割以上伸びるとの予測もある。投資マネーの流入が地方にも波及すれば、地価上昇を通して脱デフレを後押しする可能性がある。  米不動産サービスのジョーンズラングラサール(JLL)は、13年の個人の居住用を除く日本の商業用不動産への投資額を12年比で50〜75%増の3兆〜3兆5,000億円程度と予測する。同社は世界全体の伸びを最大1割と見込んでおり、日本の不動産投資の伸びが突出している。  投資を引っ張りそうなのが海外の不動産投資ファンドだ。JLLグループのラサール不動産投資顧問は海外の年金基金を資金の出し手とする新たなファンドを組成し、今後2〜3年で3,000億円強を投資する。ラサールの12年の日本での投資実績は300億円強にすぎないが、これを年間ベースで1,000億〜1,500億円程度に増やす。  投資対象はオフィスビルや物流施設で、既に東京都中央区で中規模ビルを取得した。10月には相模原市で三菱地所と共同で大型の物流施設の建設に踏み切る。福岡市でも7月に大型物流施設に着工した。  このほか米ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントもこのほど、不動産投資信託(REIT)を200億円増資し、運用規模を500億円に拡大。米ゼネラル・エレクトリック(GE)系のGEキャピタルリアルエステートは5月に、4年ぶりに日本でオフィスビル投資を再開した。カナダ年金制度投資委員会と組み、都内で約1,000億円を投資する。  英国の不動産大手グロブナーの投資ファンドは日本で1,000億円規模の新ファンドを設立する高層を持つ。  海外不動産ファンドの日本投資の背景にあるのは割安感だ。JLLによると、東京のオフィス賃料はリーマン・ショック前のピークに比ベ6割程度の水準にとどまっており、8割程度まで戻したロンドンや香港に比べ回復が遅れている。  一方で景気回復への期待からオフィス需要は上向き傾向にある。都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の7月末のオフィス空室率は8.29%(三鬼商事調べ)と、1年で1ポイント余り改善した。インターネット通販市場が急拡大し、即日配達サービスを強化する動きが広がるなか、物流施設の需要も膨らんでいる。  海外ファンドなどの投資の活発化は地価底入れにもつながりそうだ。国土交通省が主要都市を対象に四半期ごとに実施する地価動向報告によると、7月は調査地点の3分の2で地価が上昇した。野村証券の福島大輔シニアアナリストによると「都心のオフィスビルは賃料の上昇期待でファンドの買いが入り始め、それに伴う地価上昇が再び投資を誘う好循環に入りつつある」という。  地価の回復は「土地を保有する企業や個人の含み損益の改善につながり、投資や消費の追い風になる」(第一生命経済研究所の鈴木将之副主任エコノミスト)効果も見込める。海外不動産ファンドの投資は今のところ首都圏が中心。地方に波及すれば、脱デフレの動きが強まりそうだ。  ▼国内勢も増額相次ぐ 脱デフレヘ積極姿勢に------  国内の不動産各社も相次いで投資の増額に踏み切っている。日銀が2%のインフレ目標を設定し、デフレ脱却の兆しが出ていることから、資産価格の上昇を見越して優良物件などへの投資を積極化する構えだ。  東急不動産は2013年度内にも、私募REITの運用を始める。対象はオフィスビルや商業施設、ホテルなどで、運用規模は1,000億円を目指している。  森トラストは、オフィスビルなどを対象に13年度は12年度の5倍の1,000億円の投資を計画する。野村不動産ホールディングスも13年度から物流施設の開発を再開し、年間200億〜300億円を投資する考えだ。  海外富裕層の資金取り込みに力を入れる動きもある。東急リバブルはシンガポール企業と提携し、東南アジアで日本の不動産の売買仲介を始めた。シンガポールでは坪(3.3u)あたり1,000万円するようなマンションが、青山や赤坂など東京都心では同400万円程度から購入できることから、アジアの富裕層には割安感がある。  内外の投資マネーの流入で市場が活性化し、不動産開発に弾みがつく環境が整ってきた。

日経 2013年09月03日朝刊

 

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