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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

工業団地 580ヵ所浸水恐れ 本社調査 全国の4分の1 供給綱寸断リスク

 全国各地に甚大な痩水被害を与えている大型台風。福島県や栃木県で一部の工業団地が冠水し、水害に対するモノづくりの現場のもろさが浮き彫りになった。官民挙げて全国各地でつくった工業団地にどれほど浸水リスクが潜んでいるのか。日本経済新聞が調べたところ、4分の1の工業団地に浸水の恐れがあることがわかった。  栃木県足利市の毛野東部工業団地。金属部品加工の堀江パーツ工業では、12日の台風19号襲来で膝上まで浸水し、プレス機や完成部品が水につかった。ラインの一部が動いたのは17日。ある社員は「浸水経験がなく、雨風が吹き込まないように工場の窓に目張りをする程度だった」と明かす。  工場が被災すれば深刻な供給網の寸断が起きかねない。自然災害が頻発する中、足元に潜む水害リスクを把握し、対策を講じる必要性が増す。  日経新聞は国土交通省が公表している地理データベースを活用。全国の洪水浸水想定区域と、2,181カ所の工業団地(10万平方m以上)を照合したところ、27%にあたる580カ所が浸水想定区域と重なっていた。  浸水レベルも調べた。最大想定が「2m以上5m未満」は220カ所と1割に達し、「5m以上」は35カ所あった。一戸建ての揚合、2m以上は1階、5m以上は2階が水没する。冒頭の工業団地は2m以上5m未満の想定だった。  日本の製造業が伸び盛りだった1960〜80年代。全国の自治体や土地開発公社が工業団地整備にまい進した。災害リスクを今ほど意識せず、平たんでまとまった用地が多い河川流域が選ばれることが少なくなかった。法律で浸水想定区域を定めるようになったのは2001年からだ。それ以前の工業団地は河川氾濫を十分想定せず、リスクが高いところが多い。  千曲川の氾濫で水没した長野市の北部工業団地も2m以上の浸水リスクがあった。市の主導で造成したのは90年。一角にある調整池は排水路や下水管があふれる内水氾濫に備えたもので、今回は貯留上限を軽く超えた。  対策次第では同じ場所でも明暗が分かれる。  福烏県郡山市の郡山中央工業団地では多くの企業が浸水被害に遭ったが、計測器のアンリツは過去の浸水被害を教訓に生産設備を2階に移していたことで、被害はほとんどなかった。国内外の工業団地に詳しい東大の新宅純二郎教授は「進出企業は事業継続計画(BCP)の見直しが重要だ」と説く。  11年の東日本大震災のときは、半導体大手ルネサスエレクトロニクスの工場が被災し、自動車向けなど世界のサプライチェーンに打撃を与えた。中小の部品企業でも高いシェアを持っていれば、取引先は世界に広がる。日本企業は世界への影響を念頭に置き、水害の多発という新たな難問に対処していく必要がある。

日経 2019年10月31日朝刊

 

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