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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

建築業者から紹介手数料 アパート融資 地銀、利益相反か 金融庁是正へ

 相続税対策を背景に拡大している賃貸アパート向けの融資で、一部の大手地銀が顧客を建築業者に紹介する見返りに手数料を受け取っていることが金融庁の調べで分かった。請負金額の最大3%に上り、請負額が増えるほど銀行の実入りが増える。建築費を低く抑えたい顧客との間で利益相反が生じる懸念があり金融庁は顧客本位の原則に沿って是正を促す方針だ。  アパート融資は2015年の相続税制の改正で課税対象が広がったのを機に全国で需要が急増。16年中の同融資額は前年を2割上回る3兆8,000億円と過去最高を更新した。地方を中心に人口減が加速するなかアパートの過剰供給で空室率が上昇。家賃保証をめぐるトラブルも増えている。  金融庁は16年末から融資を伸ばしている地銀12行を対象に融資実態調査を進めてきた。一部地銀はアパートの建築から家賃徴収などの業務を一括して請け負う業者と顧客紹介の契約を締結。銀行が節税ニーズのある顧客を請負業者に紹介する見返りに、手数料を受け取っている実態が浮かび上がった。  アパートの建築費に請負業者の利益を上乗せした建築請負金額の0.5〜3%程度が手数料の相場だという。請負金額が4,000万円なら、銀行は最大100万円を超える手数料を受け取ることになる。こうした追加コストは事実上、建築費に上乗せされ、最終的に顧客の負担が増えている可能性がある。  顧客紹介で手数料を受け取ること自体は違法ではないが銀行が過度な手数料獲得に動けば、できるだけ安く建てたい顧客が不利益を被り、利益相反が生じる懸念が強いと金融庁は判断している。  アパート融資調査では空室率上昇で家賃収入だけではローンの返済をまかなえず、給料から返済したり、返済条件を変更したりする事例も見つかっている。金融庁はアパート融資自体を問題視しているわけではないものの「顧客本位とはいえない事例も多い」(幹部)とみて是正を促していく。 【アパート融資】相続税対策で需要急増 ▽:賃貸アパートの建築資金をまかなうための融資。日銀によると2016年12月末の融資残高は前年同月比4.9%増の22兆1,668億円で09年の統計開始以来、過去最高を更新した。新規の融資先を見つけにくいなかで、銀行もアパート融資に力を入れている。 ▽:15年の相続税制の改正で課税対象が拡大し、これまで相続税を払う必要がなかった層が新たに含まれることになった。所有地にアパートを建てると土地の評価額を下げることができるほか、銀行からの融資は債務となるため財産額を圧縮できる。こうした節税効果に資産家らが着目し、短期間で需要が急増した。 ▽:アパートを建築した後に一括で借り上げて転貸する「サブリース」と呼ばれる建築請負業者が家賃を保証するケースが多い。ただ新築物件との競争が激しく、年数が経過すると空室率が上がり、保証額は逆に下がる。金融庁は単に資金需要に応じるのではなく、将来の賃貸アパート需要や空室・賃料低下のリスクを適切に評価し、顧客に説明するよう求めている。

日経 2017年04月23日朝刊

 

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