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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

国内不動産 マネー流入 ファンド運用 最高の44兆円 企業売却物件の受け皿

 不動産に国内外の投資マネーが流入している。上場不動産投資信託(REIT)や私募ファンドを含めた資産額は2021年6月末で44兆円を超え、過去最高を更新した。低金利に悩む地方銀行や海外投資家が、利回りの安定した日本の不動産に着目する。新型コロナウイルス禍で企業が自社物件を手放す動きが広がるなか、ファンドが受け皿となっている。  三井住友トラスト基礎研究所によると、東京証券取引所に上場するREITや私募の投資商品の資産額は6月末で44兆1,000億円と1年前に比ベ3兆4,000億円増えた。日銀の異次元金融緩和が始まった13年以降、一貫して増加している。  中でも投資家数を絞って運用する私募ファンドの増加が目立つ。18年以降に資産額の拡大に弾みがつき、足元では23兆円超と20兆円強の上場REITを上回る。  私募ファンドを支えるのが地銀や信用金庫など地域金融機関だ。第一生命ホールディングス傘下の私募REITの運用会社、第一生命リアルティアセットマネジメントの牧内克司社長は「ここ2年ほどで地銀の上位行などに投資家層が拡大している」と話す。  外資系ファンドによる大型取引も目立つ。3月には米投資ファンドのブラックストーン・グループが近鉄グループホールディングスから8つのホテルを約600億円で取得すると決めた。5月にはシンガポール政府系のREIT、メープルツリー・ノースアジア・コマーシャル・トラストが日本ヒューレット・パッカード本社ビルを約400億円で取得した。  不動産サービス大手CBREによると、20年に海外から日本の不動産への投資額は前年比で24%増えた。世界全体で国境を越えた不動産への投資マネーの流れが同19%減となる中、日本への投資意欲は衰えていない。  不動産の賃料収入を物件価格で割った投資利回りは3%前後で安定している。私募ファンドの中で国内外の不動産に投資する「グローバル型」に組み込まれる日本の物件も増加傾向にある。  ファンドはコロナ禍に苦しむ企業の受け皿にもなっている。都市未来総合研究所が集計した21年1〜6月の国内不動産の売却額(公表ベース)を見ると、事業法人(不動産や建設除く)と金融法人が6,583億円と、リーマン危機前の08年1〜6月以来の高水準となった。平山重雄常務研究理事は「外資系ファンドが主要な買い手になっている」と指摘する。

日経 2021年09月12日朝刊

 

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