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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

不動産の環境認証 加速 3年で2倍 住友不など大手中心に

 日本の不動産業界で建物の環境性能などを評価する認証の取得が加速している。日本政策投資銀行や国土交通省の認証を取得した物件数は足元で約1,500件と3年で2倍強となった。住友不動産が新規の大型物件で原則として認証を取得する方針を打ち出すなど、大手不動産の積極姿勢が目立つ。認証取得でESG(環境・社会・企業統治)マネーの取り込みを狙う。  不動産の環境認証で主流となっている日本政策投資銀行の「グリーンビルディング認証」の取得物件数は2020年末時点で初めて1,000件を超えた。昨年3月末の902件からおよそ120件増えた。国土交通省などが作ったCASBEE(建築環境総合性能評価システム)不動産認証の取得物件も29日時点の公表ベースで438件と前年3月から2割増えた。  グリーンビル認証とCASBEEはともに建物の環境性能などを5段階で評価する認証制度。いずれも不動産大手や不動産投資信託(REIT)が主な取得者だ。  制度が発足してからしばらくはREITが取得の主体だったが、近年は不動産大手の認証取得も増えている。20年度の取得物件数(昨年末時点)が最も多いのは住友不動産の25件。18〜19年度には三菱地所がオフィスビル12件と商業施設3件で取得している。  取得がREITから不動産会社などに移っているのは、社会や環境の持続可能性に資する事業に使途を限るサステナビリティーボンドなどの発行が広がってきたためだ。同ボンドの発行には認証が活用されている。  東急不動産ホールディングスが昨年12月に発行したサステナビリティーボンドは発行額300億円に対して投資家の需要が1,800億円集まったという。   「結果として、定量的には測れないが、発行利率の引き下げにもつながったと考えている」(西村和浩執行役員)として、調達条件にも有利に働いたようだ。  東京建物も今年2月にサステナビリティーボンドを400億円分発行した。環境面での貢献の裏付けとして、投資対象物件のグリーンビルディング認証などの取得が盛り込まれている。  政投銀の担当者は「テナント側も不動産賃貸を通じてESGの取り組みをアピールしようとし始めている」と見る。イタリアの高級品大手プラダが19年に仏クレディ・アグリコルと結んだ5,000万ユーロ(約60億円)の融資契約では、使用する店舗が米国の建築物環境認証「LEED認証」をどの程度取得しているかで金利が変動する。資金調達とテナント獲得の双方で、不動産会社による環境対応は重要性を増していきそうだ。

日経 2021年03月30日朝刊

 

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