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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

RElT、進む二極化 物流系上昇も商業系軟調

 不動産投資信託(REIT)市場で二極化が鮮明だ。3月に乱高下した東証REIT指数は新年度に入り膠着しているが、個別に見ると物流系の上昇が際立つ一方で商業系やオフィス系は軟調だ。世界的な追加金融緩和による低金利環境で、相対的に高い利回りを狙う資金が流入しやすいものの、投資家はコロナ禍の長期化を見据えて銘柄選別を強めている。  24日の東京市場で東証REIT指数は反落し、前日比2%安の1,551.04となった。最近は1,500台でおおむね横ばい推移だ。もっとも新型コロナウイルスの感染拡大に歩調を合わせ3月中ごろに1カ月前の半値となる1,100程度まで急落した局面からは切り返した。  マネーが向かっているのが物流系だ。時価総額が大きいGLP投資法人やラサールロジポート投資法人は3月末比で5〜6%高となり、REIT指数の3%安に対して逆行高となっている。国内外の機関投資家や個人などの買いが入っているとみられる。  背景には新型コロナの影響が長期化した場合、物流系は収益面の耐久力が高いとの見方がある。外出自粛で休業する施設も多い商業系などに比べた相対的な強さに加え、「巣ごもり」消費の通販拡大で倉庫需要はむしろ伸びるとの期待もある。不動産サービスのCBRE(東京・千代田)によると、複数テナントが入るタイプの大型物流施設の空室率は低下傾向だ。  UBS証券の竹内一史氏は「新型コロナの影響の長期化を踏まえると、収益の安定性が強い物流系が好まれる環境が続く」と指摘する。  一方、ここにきて休業する施設が相次ぐ商業系への懸念が強まっている。今後はテナントが賃料減額や猶予を求める動きが本格化するとみられる。オリックス不動産投資法人は16日発表の決算資料で、2021年2月期に都市型商業施設のテナントの2割が退去した状況が半年続くとの想定を盛り込んだ。  オフィス系にも不透明感が残る。三鬼商事によると3月の東京都心のオフィス空室率は1.5%で9カ月ぶりに上昇。在宅勤務の普及でオフィス需要の減少が引き続き予想される。

日経 2020年04月25日朝刊

 

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