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全館空調の簡易システム 戸建て向け、導入費安く OMソーラー 70万円目安

 太陽熱利用システムのOMソーラー(浜松市)は1日、戸建て住宅向けの簡易型全館空調システムの販売を始めた。同等な室温などを保つのに必要な設備より、電気代を年3〜4割抑える。工務店などを通じた販売価格の目安は70万円で、同社の高機能設備の2割弱。電気料金が上がるなか手軽に導入して快適性や電気代節約につなげてもらう。  製品名は「プラン・ビー」。1台のエアコンの暖気や冷気をダクト付きのファンで複数の部屋に送る。プラン次第で洗面所やトイレなどにも空気を送れる。各部屋に1台のエアコンを置かなくても快適な温度を確保し、節電できる。新築を中心とする戸建て向け。既存物件にも使えるが、断熱性能が低い古い建物など不向きな物件もある。  ファンをスイッチで止めれば空気を送るのを止められる。ダクトに空気清浄フィルターを取り付ければ、各部屋の空気の清浄化もできる。  独自ソフトを使って室温や電気代を事前にシミュレーションした結果をエアコンの能力やダクトの長さなどの設計に反映し、効果を最大限発揮できるようにする。節電効果は例えばエアコン5台、空気清浄機5台を備えた家で同等な室温や空気の清浄度を保つのに比べ、電気代を1年あたり3〜4割減らすことができるとしている。  2階建て住宅に必要なプラン・ビー2セット(エアコン費用は除く)の目安価格で70万円。エアコンを使わず、太陽熱システムとヒートポンプ式の冷暖房給湯システムなどを併用して快適性と省エネを実現する独自設備「OMX」が旗艦製品にある。エアコン費用は別途かかるが、プラン・ビーは太陽光発電もフル活用したOMX(400万円程度)の2割弱で導入できる。  OMソーラーは、東京芸術大学名誉教授だった建築家の故・奥村昭雄氏が考案した温熱システムの普及を目的に1987年に設立した。設立以来、太陽熱を使った床暖房や給湯システムを主に販売してきており、建物内の熱や空気の動きに関する科学的な知見やノウハウを培ってきた。プラン・ビーではそうした知見などが生きている。  同社は省エネと快適な全館空調の両立をめざすなか、機器の性能向上や太陽エネルギーを積極的に活用できる製品の開発に取り組んできた。ただ、こうした製品は導入コストがかさむ。自社の全館空調と全く同等の温熱環境や省エネ性能のレベルには届かないが、導入費が安い製品が必要と判断し、プラン・ビーを開発した。  国内の新設住宅着工戸数はバブル景気時に170万戸程度あったが、2020年度は81万戸に縮小した。野村総合研究所の予測によると40年度には46万戸に減る見込み。市場の先行きは厳しいが、OMソーラーは将来の脱炭素に向けた省エネ需要のほか、脱衣所などでの突然の温度変化による「ヒートショック」を防ぐ需要などに期待する。  OMソーラーの売上高は直近年15億円程度で推移する。プラン・ビーでエアコンを使う消費者や新たな工務店を開拓する。22年4月から1年間で1,000台の販売をめざす。

日経 2021年12月02日朝刊

 

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