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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

国産合板、14年ぶり高値 住宅復調、供給追いつかず

 住宅の壁や床に使う国産合板の流通価格が一段と上昇し、14年3カ月ぶりの高値を付けた。住宅着工が徐々に持ち直し需要が戻る一方、メーカーは新型コロナウイルスの流行の影響で人手を減らしており供給体制が追いつかない。梁(はり)などに使う製材品も高値が続いており、住宅の建設コストを押し上げる要因になる。  建築物に使う構造用合板の指標である針葉樹合板(厚さ12mm品)の東京地区の問屋卸価格は、現在1枚1,180〜1,200円。9月上旬より80〜100円(8%)高く、2007年7月以来の水準となった。当時は景気が拡大し、建築需要が旺盛だった。東南アジアの伐採規制で国産合板に代替需要が集まった。  農林水産省によると、針葉樹合板の在庫量は8月末に9万2,498立方mと、前年同月比で38%少ない。通常在庫は十数万立方m台で推移するが、4カ月連続で10万立方mを割る低水準が続き、品薄感が広がっている。  需要の伸びに合板の供給が追いつかない。8月の木造住宅の新設着工戸数は4万4,587戸で、前年同月比16%増えた。9月以降も「秋はもともと住宅の需要期で引き合いは強い」(合板メーカー)。合板を買って加工するプレカットメーカーも、夏ごろからフル稼働に切り替えた。  一方、合板メーカーの稼働率は需要を補うほどには上がらない。8月の生産量は24万3,404立方mと、減産していた前年同月と比べると17%増えたものの、コロナ前の19年8月比では5%少ない。  新型コロナ禍で需要が激減した20年の春から夏にかけ、合板メーカーは2〜3割の大幅な減産体制を敷いた。工員を減らしたメーカーもある。すぐに再雇用することは難しく、稼働能力が上がらない。  原料の丸太の価格も上昇している。世界的な木材不足で国産材の需要が伸びている。農林水産省によると、合板に使うスギ丸太の価格(9月)は1立方m1万2,400円と前年同月比で1,700円(16%)高い。  供給不足を背景に、合板メーカーが打ち出した値上げが流通段階で浸透している。木材問屋からは「メーカーから提示された価格がそのまま通っている状況。年内は上昇基調が続くだろう」との声が出ている。  輸入合板も最高値を更新した。コンクリート型枠用合板は指標の12mmの輸入品の問屋卸価格(東京地区)が1枚1,580円(中心値)と前月比50円(3%)高い。構造用合板も1,640円と50円(3%)上昇した。  主産地の東南アジアではコロナ禍が収束せず、合板工場の稼働率が下がっている。現地工場は加工率が高く高値で売れる塗装型枠用合板を優先して生産しており、塗装していない型枠用などの供給が細っている。  梁や柱に使う製材品も、値上がりは一服しているものの依然として最高値にある。合板を含めた木材は木造住宅の建設費の約1割を占めると言われる。値上がりが続くと住宅メーカーの採算を圧迫しそうだ。

日経 2021年10月22日朝刊

 

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