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太陽光設置、初期費用ゼロ 設備会社と連携、電力2割自給 イオン、数年で200店体制

 イオンは初期費用なしで太陽光発電設備を店舗の屋上に設置し、電力を購入する新型の発電システムを導入する。年内に滋賀県の商業施設で始め、数年内に200店舗まで広げる。大手小売業でこの仕組みを採用するのは初めて。環境意識への対応などを通じ、他社に再生可能エネルギーの使用を促すきっかけになりそうだ。  イオンが導入するのは、PPA(電力販売契約)と呼ばれるシステム。設備会社などがイオンの屋上を無償で借りて太陽光パネルを設置する。イオンは初期費用がかからず、手軽に太陽光発電を導入でき、二酸化炭素(CO2)排出量も減らせる。  パネルなどの保守は設備会社などが請け負い、原則として一定期間が経過するとイオンに機器が譲渡される。設備会社は低コストで発電した電力を、大手電力並みの料金でイオンに販売して設置費用などを回収する。  イオンは三菱UFJリース子会社のMULユーティリティーイノベーション(東京・千代田)と契約を結んだ。イオンはまずMULと2019年内にイオンタウン湖南(滋賀県湖南市)の屋根に4,000枚弱のパネルを敷く。最大約1,100キロワット分の発電能力となる。平均すると店舗が使うエネルギーの2割をこの再生エネで賄えるという。  イオンはグループの総合スーパーや食品スーパー、商業施設など数年内に200店に導入する。中長期的にはアジアの店舗も視野に入れる。  イオンは2月末時点で1,000店以上で太陽光発電をしており、約7万キロワットの発電能力がある。18年3月には事業で使う電力をすべて再生エネで賄うことを目指す企業連合の「RE100」に加盟した。50年までに事業で使う電力すべてを再生エネにする計画だ。  国内では「RE100」に加盟する企業が増えているが、実現の道筋が見えていない企業も多い。追加のコスト負担を抑えながら再生エネを集めるのが簡単ではないためだ。今回の枠組みを使えばイオンは初期投資をかけず、自前の店舗を活用して再生エネを確保できる利点がある。  米国では初期費用ゼロで太陽光パネルを設置するサービスが企業や家庭で広がっている。日本でも個人住宅の例はあるが、スーパーや商業施設での採用は少なかった。  環境意識の高まりや、環境や社会への貢献を重視するESG投資の広がりを受け、再生エネを使ったCO2削減の機運は高まっている。環境に配慮しつつ、持続的な事業成長を狙う小売業にとって、新サービスは環境経営を加速させる一手となりうる。

日経 2019年04月18日朝刊

 

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