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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

オフィス賃料、2万円乗せ 都心9年ぶり 拡張・移転需要が旺盛 空室率2.68%低水準続く

 東京都心のオフィスビルの賃料が約9年ぶりに2万円台まで上昇した。 好業績に伴う企業のオフィス拡張・移転需要が強く、空室が少ない状況が続いている。大手不動産からは契約更新時の賃料増額を受け入れてもらいやすいとの声も多い。当面は堅調な市況が続きそうだ。  オフィス仲介大手の三鬼商事(東京・中央)が7日発表した都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の5月時点の平均募集賃料は3.3u当たり2万19円。4月に比べ123円(0.62%)上昇し2009年7月以来の2万円に乗せた。上昇は53カ月連続。  空室率は2.68%と0.03ポイント上がった。仲介大手によると「竣工予定ビルヘの移転により大型の空室の募集が始まった」。空室率の上昇は5カ月ぶりだが、需給均衡の目安とされる5%は依然、下回っている。  オフィス需要は堅調が続いている。「移転で空室が発生しても、他の人居中の企業の増床で埋まってしまう」(三幸エステー卜の今関豊和氏)。空室の少なさは既存物件の賃料改定にも波及し「ここ数年は増額の了承を得られやすい環境が続いている」(東京建物)という。  5月に完成した「msb Tamachi 田町ステーションタワーS」(東京・港)。三菱地所によると「満室で稼働し始めた」という。JR田町駅から徒歩1分と近く、ビルまでは屋根付きのデッキを設けており雨にぬれずに移動できる。天井高2.8mで柱の間隔を広くし開放感と使いやすさを高めたのが特徴という。  ユニー・ファミリーマートホールディングスは来年2月、東京都豊島区から同ビルに本社を移転する。東海道新幹線が停車する品川駅が近く、傘下のユニーが今秋、本社を移転する名古屋市との移動をしやすくする狙いがある。現在のフロアは階続きになっておらず「行き来に時間がかかる」(同社)。移転で階続きのフロアを確保したことで移動時間の短縮や社員同士のコミュニケーション向上にもつながるとみる。  都心5区では今年から20年にかけて大型ビルの大量供給が続く見通し。ただ「年内完成予定のビルは8〜9割が埋まった」(三幸エステートの今関氏)。このため「年内は賃料を押し下げる水準までは空室率は上がらない」(ニッセイ基礎研究所の佐久間誠氏)との見方が多い。一方で、高い賃料を払える企業には限りがあり、大幅な上昇も見込みにくい。当面は堅調な市況が続くとみる市場関係者は多い。

日経 2018年06月08日朝刊

 

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