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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

中古住宅 質を保証 劣化や不具合 説明義務化 来月から売買の制度変更

 中古住宅の売り買いが4月から変わる。建物の劣化や不具合の状況を把握するインスペクション(建物状況調査)に関する説明が取引業者に義務化されるとともに、優良な中古住宅に国がお墨付きを与える「安心R住宅」制度がスタート。物件の信頼性が確認できるようになることで、新築志向の強い東海地方でも中古住宅の取引が活発になる可能性がある。  制度変更の背景にあるのは購入者の不安だ。中古住宅は詳細な設計書が残っていない場合も多く、購入時に示される目安は築年数や駅からの距離、間取り、リフォームの有無など。外観から分からない水漏れや劣化が購入後に発覚し、トラブルになる場合もあった。  そのため国は安心して中古住宅を購入できるよう、宅地建物取引業法を改正。不動産会社や仲介業者に対し、建物状況調査をする業者をあっせんできるかどうかを売り主、買い主に伝えるよう義務付けた。買い手への「重要事項説明」では調査の有無や結果を説明しなければならない。  これらにより買い手は建物の“質”を踏まえて購入を判断できるようになる。一定の条件が満たされれば「既存住宅売買瑕疵保険」に加入することもでき、引き渡し後のトラブル防止になる。  調査は、規定の講習を受けた「既存住宅状況調査技術者」の建築士が担当。柱や基礎といった構造上の主要部分と、雨水の浸入を防ぐ屋根、外壁などを調べる。費用は数万円からという。  東海地方の中古・新築住宅の調査を手掛ける、さくら事務所ホームインスペクション東海(名古屋市)の坂川泰士朗一級建築士は「古い物件でも新しい物件でも、問題は一定数存在する」と指摘。「第三者の専門家による調査で購入前にリスクを減らすことが望ましい。修繕が必要な箇所や時期が分かるのも利点」という。  こうした調査の実施を認定条件の一つにするのが、国土交通省が創設した安心R住宅制度。調査を済ませ耐震性がある物件が「安心R住宅」と認められる。認定住宅については内外装や水回りの現状を撮影した写真を示し、リフォーム情報を提供する必要もある。  国から専用マークの使用許可を受けた業界団体の一つ「リノベーション住宅推進協議会」の理事で、約80社が加盟する東海エリア事務局の片田一幸さんは「安全な中古住宅への理解を深めるきっかけになる」と市場活性化に期待を込める。

中日 2018年03月27日朝刊

 

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