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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

エアビーCEOに聞く 民泊、日本も・欧州並みに 法施行で市場拡大に期待

 一般住宅に旅行者などを有料で泊める民泊仲介の世界最大手、米エアビーアンドビーが日本の事業を広げている。6月に迫る住宅宿泊事業法(民泊法)の施行は社会的な認知が進む一方で営業日数に制限が生じる。日本経済新聞の取材に応じたブライアン・チェスキー最高経営責任者(CEO)は登録物件が増え、欧州のように民泊が広がることへの期待を示した。  ーー日本で6月に民泊を解禁する民泊法が施行されます。  「長い間、法的にグレーだった民泊が正当なビジネスだと認められるようになり、日本市場の成長に弾みがつくとみている。日本は人口減少で空き家が増えている。有効活用が進めば地域経済にもプラスになるだろう。今後は東京五輪も控えており、エアビーにとっても日本事業拡大の道筋になると期待している」  「これまでも世界中の都市とパートナーシップを結んできた。登録や納税の必要性、営業日数の制限などがあっても、一度合法だと認められれば、ほとんどの場合、その都市での成長は加速している。日本でも認知されることで民泊が急速に普及するとみている」  ーー日本事業は物件数が約6万件です。今後の日本市場の成長力をどう見ていますか。  「東京、京都、大阪は急成長している。東京と京都は以前から伸びていたが、特に大阪の成長がめざましい。フランスの登録物件数は45万件だ。日本もその規模になってもおかしくはない」  ーー2018年中には新規株式公開(IPO)をしないと表明しました。急がない理由は。  「公開企業として市場からの圧力に直面する前に、自分たちがどんな企業でありたいかをはっきりさせて体制づくりをしないといけない。そのためには時間もかかる。例えば会社の運営方針として何に重点を置くかを完全に理解している取締役会の構築が必要だ。そうでなければ四半期ごとの業績目標達成という短期的なゴールに縛られることになる」  「企業が株式公開する理由は4つあるだろう。第1に運転資金の調達だが、その必要は無い。第2が企業ブランディングのためのイベント、第3が企業買収のための資金調達だが、どちらも無用だ。最後が株式の流動化。 これが一番重要な理由となるが、(エアビーの)投資家は長期的な投資を望んでおり、株を手放すよりもさらに購入することを希望している」  「来年にはIPOに向けた社内の準備は整うが、必ずするとは限らない。株式の流動化に対する必要性と体制のできあがり具合とのバランスを見てタイミングを決める」  ーー民泊仲介にとどまらず事業領域を広げています。16年に始めた体験イベントの仲介サービス「エクスペリエンス」の進捗状況は。  「急速に伸びている。民泊仲介を始めたときに比べて浸透が速い。現時点でエクスペリエンスの数は5,000件しかないが、新たに5万5,000件の認定作業を進めている。将来的にはエクスペリエンス事業はホーム事業と同規模の売上高になるはずだ」 【住宅宿泊事業法(民泊法)】  一般住宅に旅行者らを有料で泊める民泊を全国で解禁する法律。 6月15日に施行される。 「ヤミ民泊」が横行する民泊の法的な位置づけを明確にする。現在、合法民泊を営むためには、旅館業法の簡易宿所の許可か国家戦略特区の認定が必要。民泊法の施行後は貸し手が自治体に届け出れば民泊を営める。営業日数は年間180日の上限がある。海外の仲介業者は観光庁に登録する必要がある。多くの自治体が民泊法に上乗せする規制を設けており、骨抜きになる懸念も指摘される。 【ブライアン・チェスキー氏】  ニューヨーク州出身。名門美術大学の米ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)の工業デザイン学科を2004年に卒業。RISDで知り合ったジョー・ゲビア氏らと共にエアビーアンドビーを08年に創業した。36歳。  エアビーアンドビーは世界191カ国で事業を展開し、登録物件数が約450万件を超える世界最大の民泊仲介サイトに育った。推定企業評価額は300億ドル(約3兆2千億円)以上。日本には14年に進出し、年間580万人が利用する。

日経 2018年02月24日朝刊

 

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