林野庁は10日、木材の供給不足や価格高騰が深刻化している「ウッドショック」の影響について、関係業界と意見交換した。資金繰りに不安を抱える中小工務店が増えているとの報告があり、住宅業界への打撃が浮き彫りになった。林野庁は国産材の供給力強化を目指すが、林業従事者の人材不足など課題は多い。
全国建設労働組合総連合が8月に実施した工務店調査では、32都道府県の273社が回答し、約半数は5月から木材の調達状況が悪化。資金繰りへの影響(複数回答)は、3割超がウッドショックが長期化すると心配とし、1割弱は既に逼迫(ひっぱく)しているとした。
農林水産省の統計によると、住宅の梁(はり)などに使われる輸入材のベイマツ平角は8月の全国平均価格が前年同月に比べ79%上昇。柱に使われる国産材のスギ正角(10.5cm角、乾燥材)は2倍近くに達している。日本は木材の輸入依存度が高く、国産材の供給も追いついていないのが実情だ。
木材や建設資材の高騰で住宅販売価格を大幅に引き上げざるを得ない例もあり「危機的状況だ」(全国工務店協会幹部)との指摘もあった。
林野庁は2022年度予算の概算要求に、木材の加工施設整備への支援策などを盛り込んでおり、安定供給体制構築への協力を呼び掛けた。会合はオンラインで開かれ、学識経験者や森林組合、加工流通業界の関係者らが参加した。
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