所有者が分からないまま放置されている土地を、地域の公益目的で活用できるようにする特別措置法が1日施行された。国土交通省が支援するモデル事業には、市民農園や集会所などの用地にしたいとの提案が寄せられており、夏には先行的な取り組みがスタートする見通しだ。
特措法が定める手続きを踏めば、地方自治体のほか企業やNPOなども土地を活用できる。まず登記簿などで所有者を調べ、見つからなければ活用計画を都道府県に提出。知事が審査し公益性が確認されれば、最長10年の使用権が認められる。
所有者が現れて明け渡しを求めた場合は、使用期間終了後に更地にして返還する。不明のままなら期間延長が可能だ。
国交省は主に公園や公民館、保育園、診療所といった施設の整備を想定。コンビニやスーパーが近くにない地域では、住民の利便のため日用品店などの営業も認める。
ただ知事審査の後、6カ月間の計画周知期間が必要で、手続きには一定の時間がかかる。土地の賃料相当の補償金を納める必要もある。
モデル事業には複数の応募があり、国交省は月内にも数件を採択する。具体的な支援内容などを調整した上で、所有者調査に着手してもらう計画だ。今後10年で100件の活用事例をつくりたい考え。
所有者不明の土地を公共事業に使う場合、知事の裁定があれば取得できるよう手続きを簡素化する規定も1日に施行された。
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