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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

地銀、アパート融資減速 4割「厳格に」「積極的」はゼロ 全国105行本社調査

 アパートやマンションなど投資用不動産向け融資(アパー卜融資)が曲がり角にきている。日本経済新聞が全国の地方銀行に実施した調査によると、今後、積極的に融資を伸ばす地銀はゼロだった。担保価値を保守的に評価するなど4割強は融資の審査も厳しくすると回答した。不正融資が横行したスルガ銀行問題などを受け、地銀による融資が減速する可能性が出てきた。  調査は全地銀105行を対象に10月に実施。群馬、スルガ、島根、香川、沖縄の5行を除く100行から回答を得た。アパート融資の残高(9月末)は前年同月比1.3%増の22兆9,388億円で約65%を地銀が占める。  地銀にとって節税対策を探す土地所有者や副収入を得たい会社員らを対象にしたアパート融資は数少ない成長分野。今回の調査でも81%の地銀が残高が1年前より増えていると回答した。  ただスルガ銀問題や需要の一巡で優良案件が減ったことを背景に足元では慎重姿勢を強めている。調査では融資姿勢について66%が「案件次第」と回答。34%は「慎重に進める」とし「積極的に伸ばす」はゼロだった。  融資審査も「厳しくしている」「厳しくする方向で検討」が計42%に上った。土地・建物の売買で融資額を下げて差額を自己資金で出すことを条件にしたり、融資の判断を営業店でなく本部に集約したりしている。  大手銀行は1〜2年前からアパート融資への慎重姿勢を強めており、日 銀によると、銀行全体の7〜9月期の新規融資は前年同期比14%減の7,344億円と、7四半期連続で前年実績を下回った。地銀も慎重になれば、市場の減速基調は一段と鮮明になる。  スルガ銀で投資トラブルになったシェアハウスでは、所有者に家賃保証をする転貸業者(サブリース業者)が突然、賃料の支払いを止めて経営破綻した。周辺相場を大幅に上回る額で物件を販売し、多くの所有者がローン返済に窮した。  このためスルガ銀問題を強く意識した回答もあった。「サブリース業者の財務内容を調査している」(東海地方)や「建築費の妥当性を検証し、業者が不当に利益を上乗せする可能性に留意する」(関東地方)などだ。  スルガ銀では借り手の年収や金融資産を水増しする書類改ざんが横行。多くは不動産業者が改ざんし、銀行員は見逃していた。こうした問題を踏まえ、書類改ざんなど不正行為の有無の総点検を22%が実施したと答えた。また借り手の返済能力を預金通帳や源泉徴収票といった「原本」で確認しているとの回答も76%あった。  ただ銀行が過度に融資を抑えると不動産市場に悪影響がでかねない。アパート融資の現状は金融庁も調査中だが、融資そのものを問題視しているわけではなく、適切に審査・管理する態勢があるかを点検する。  地銀は低金利や人口減少で事業環境が厳しい。今後、収益源探しが一段と重要な課題になり、再編を模索する動きが出てくる可能性もある。

日経 2018年11月16日朝刊

 

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