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生保マネー再び不動産に 運用残高、4年ぶり増 超低金利下で苦肉の策 今年度

生保マネー再び不動産に 運用残高、4年ぶり増 超低金利下で苦肉の策 今年度  「生保マネー」が再び不動産に向かっている。大手生保は軒並み不動産投資を積極化。2018年度は4年ぶりに不動産の運用残高が前年比で増える見通しだ。足元の好調なオフィスビル需要が背中を押しているが、高値への警戒感がある不動産への投資は、日銀のマイナス金利政策で厳しい債券運用を補うための“苦肉の策”にも映る。  生命保険協会がまとめた国内生保41社合計の資産運用状況によると、19年1月末時点の不動産の運用残高は6.1兆円と前年同月比0.3%増えた。18年度の通年でみても、4年ぶりに増加に転じる見通しだ。  18年8月にJR浜松町駅から徒歩2分の好立地に完成した「日本生命浜松町クレアタワー」は、日生が1,000億円投じて開発したオフィス・商業ビルだ。同12月には東京・港の国際赤坂ビルの持ち分50%を約400億円で取得し、建て替えを計画している。日生は13年度以降、物流施設に計500億円強を投じた。直近5年間でオフィスビル11件に計約2,700億円投資すると決めるなど、大手生保の中では継続して不動産に投資してきた。  不動産の運用利回りは3%弱と、低金利環境でも安定した運用収益を確保できることなどから、ほかの大手生保も投資に積極的になりつつある。  第一生命保険はこのほど東京・虎ノ門の再開発案件で600億円投じると決めた。大型の開発投資は12年ぶりだ。住友生命保険はマイナス金利政策の導入後、不動産の新規取得や立て替えを積極化。10年程度かけて数千億円を投資して残高を積み上げる計画。17年には横浜・みなとみらいの再開発案件への投資を決めた。明治安田生命保険も19年度以降、積極投資に転じる方向だ。  不動産投資で生保マネーと競合するのが不動産投資信託(REIT)だ。上場REITの保有不動産規模は合計で約18兆円と、生保マネーの3倍に達する。ただ1社当たりの投資用不動産の規模では日生が1兆円、第一生命が8,000億円と存在感は大きい。  一方、保有する不動産の一部を外部に転売する動きもある。日生は16年に私募REITを組成する子会社を設立し、リーマン危機後に米AIGから1,150億円で取得し た東京・丸の内のオフィスビルや商業施設、物流施設など幅広い物件を組み入れ、機関投資家や地銀などに販売。手数料収入の源泉となっている。私募REITの残高は足元で1,100億円だが3,000億円規模に拡大する計画。本体とREITの両面で残高を増やす。  バブル絶頂期に海外不動産の買収攻勢から世界で「ザ・セイホ」の異名を取った生保マネー。バブル崩壊後に海外からは一斉に撤退したが、こちらもそろり再開する動きが出ている。第一生命は17年度に26年ぶりにファンドを通して投資。日生も海外不動産ファンドに1,330億円を投じた。  ただリスクはある。空室率2%を切るという足元の活況から、国内のオフィスビルの物件価格は上昇しており「高値づかみのリスクがある。拙速に残高を増やすことはない」(住友生命)。20年の東京五輪後に不動産市況が急に冷え込むとの見方もあり、動向を注視する必要がありそうだ。 【投資用不動産向け融資 収入「必ず原本確認」25% 金融庁、銀行アンケート調査】  金融庁は28日、アパートなど投資用不動産向け融資に関する銀行へのアンケート調査結果を発表した。物件所有者となる会社員の収入状況について、原本で資料を必ず確認すると答えた銀行は25%にとどまるなど、ずさんな融資の実態が改めて浮き彫りになった。 スルガ銀行で顧客の資産や収入状況を示す審査書類の改ざんなど不適切な融資が横行していたことを受け、金融庁は融資実態の把握を進めていた。  調査は2018年10〜11月に地方銀行を含む121の銀行、261の信用金庫などを対象にアンケート形式で実施した。  18年3月時点で融資を受ける顧客が会社員の場合、給与明細など収入を示す書類の原本を「必ず確認する」と答えた銀行は25%にとどまった。「一切実施しない」との回答も7%あった。不動産業者を経由して資料を手に入れる銀行も多く、ずさんな融資審査が目立った。今回の結果を踏まえ、金融庁は一部の金融機関に対して、立ち入りも含めた検査でより詳細に実態把握を進める方針だ。

日経 2019年03月29日朝刊

 

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