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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

転貸借業者 実態調査へ 不動産、契約トラブル頻発 登録義務化も視野 国交省

 不動産のサブリース(転貸借)契約を巡るトラブルが頻発しているのを受け、国土交通省が業者の実態調査に乗り出す。不動産所有者への収入保証などの説明が適切かどうかや誇大広告の有無などを調べる。住宅メーカーや建設会社など関連業者も調査対象とする。事業の問題点を把握したうえで、業者の登録義務化も視野に入れてルールの強化を検討する。  サブリースはビルやアパートなどの建物を所有者から業者が丸ごとあるいは一部借り上げ、入居希望者を見つけてまた貸しするビジネスだ。入居者募集、建物の維持・管理、家賃集金などの業務を手がけ、入居者の家賃などから業者の取り分を除いたものが所有者の収入となる。  所有者が「安定した家賃収入を保証」などとうたう業者に勧誘され、多額の融資を受けてアパートを建設し、サブリース契約を結ぶケースも多い。数百万円の年収のサラリーマンが1億円の借り入れをする例もあるという。その後、業者から家賃減額を迫られて事業計画が狂い、借入金返済に行き詰まるなどのトラブルが相次ぐ。予定していた収入の約4割減額を迫られた例もあるという。  サブリース契約を使ったシェアハウス「かぼちゃの馬車」の運営会社スマートデイズが破綻して訴訟も起きており、所有者に対するスルガ銀行の不適切融資の実態も明らかになった。  国民生活センターなどへの相談は増加傾向だ。消費者庁によると、相談件数は15年度から年々増え、18年度も9月初旬までの約5カ月間は約180件に上り、このままいけば17年度を上回るペースだ。  国交省はサブリースの業者に関する登録制度を設けているが、登録は業者側の任意。未登録業者が関与するトラブルが頻発しているとされる。同省は対象となる業者数や調査内容を詰めたうえで、2019年度の早い時期に調査を始める。未登録業者も、民間の関連調査を参考にして接触を図る方向だ。  調査ではまず不動産所有者への説明方法をチェックする。将来的な賃料変動の可能性、業者が賃料減額を請求できることなどを事前に適切な方法で知らせているかどうかなどを確認する。  不動産会社や住宅メーカー、建設会社など関連業者も対象に加えるのは、所有者が不動産購入の段階からサブリースを想定した契約があるためだ。サブリースを巡って複数の業者が関わる事業形態を詳細に把握し、適切な商取引を促すためのルール強化を検討する。  国交省が想定する対策は、まず登録の義務化をにらんだ法整備だ。登録業者は重要事項の適切な説明や貸主への定期報告などのルール順守が求められ、国の管理も及びやすい。ただ3万程度とされる業者数のうち、登録数は大手を中心に4千程度にとどまる。  調査結果を踏まえ、説明時の注意事項などを詳細に定めたガイドライン策定も念頭に置く。個人の不動産取引の実態も把握し、有識者や業界、金融機関などを交えた検討会を立ち上げて投資家のリスク認識などの実情を探って対策を検討する。

日経 2018年11月13日朝刊

 

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