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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

基準地価 浜松郊外の住宅地 急伸 工場進出の内陸も上昇

 県が18日に発表した基準地価で、住宅地の値上がり率の上位10カ所中、6カ所を浜松市郊外の土地が占めた。以前から人気が高い中心部近くだけでなく、工場の進出や移転が進む内陸部が大きく伸びたことも特徴だ。   県内の住宅地で最も高い値上がり率4.0%を記録した中区蜆塚3は、閑静な住宅街として根強い人気を誇る。隣接する同区山手町も2位の値上がり率3.2%を示した。前年はそれぞれ1.6%、2.7%で、上昇幅の拡大が目立った。  地価調査で県幹事を務めた不動産鑑定士の松島芳知さんは「水準より高値での成約事例があったことが大きな理由だ」と話す。周辺では他にも同区佐鳴台6が1.7%、同区鹿谷町が1.1%と上昇が目立ち、ともにトップ10に入った。  「売り出せば、一般公開前に内々で決まってしまう場合もある」(松島さん)ほど人気が高い遠州鉄道沿線では、高架化された新浜松−上島駅間の引き合いが特に強い。今年の基準地価でも、上島駅近くの同区上島2の値上がり率が1.8%で県内六位となった。沿線人口の増加が寄与し、同鉄道の2017年度の乗客数は49年ぶりに1千万人に達した。  中区以外で唯一トップ10入りしたのは西区桜台3。2.9%の値上がり率で4位となった。地区内には工場も立地するため、職住近接を志向する若い世代を中心ににぎわいを見せる。内陸部で桜台からも比較的近い北区の都田地区には、防災の観点などから大企業を中心に工場の進出や移転が相次ぎ、スズキは今月、浜松工場を本格稼働した。  松島さんは「桜台は市街地と比べて地価も安く、都田などの工場集積地にも通いやすい。東日本大震災以降、安心安全を求めて『少しでも内陸へ』という意識が増した」と分析。「周辺で工場建設が進めば住宅、商業両面で需要が高まるのではないか」と話す。  一方、値下がり率の上位には南区の3カ所が入り、市内の沿岸部と内陸部で二極化が続いた。ただ、沿岸部でも、国道1号や同150号より北側では下落幅が縮小に転じた。松島さんは「リーマン・ショックや震災による下落前と比べ価格は3〜4割下がっており、多くの人の食指が動く価格帯になってきた」と解説。同時に「南側ではまだまだ下落が続きそうだ」との見通しも示した。

中日 2018年09月19日朝刊

 

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