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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

北米丸太 値下がり 対日価格、2ヵ月連続で 住宅着工の減少映す

 住宅の梁(はり)や柱に使う北米産丸太の日本向け輸出価格が2カ月連続で下落した。日本国内では新設住宅着工の減少で需要が鈍化している。製品価格への転嫁が難しい製材大手が値下げを要求し、米林業大手が受け入れた。競合する集成材も流通価格の値上がり機運が乏しく、価格上昇に一服感が出てきた。  指標品となる米松のIS級(直径30cm以上)の6月積み価格は千スクリブナー(約5・4立方m)当たり1,010ドル(FAS=船側渡し)と、5月積みに比べ20ドル(2%)下がった。屋根を支える部材に使う米松小径木(SLC級、直径20〜28cm)も同1,000ドルと20ドル(2%)安い。  円安・ドル高や船賃の上昇で円ベースの輸入コストが上昇。日本の製材会社は採算が悪化しており値下げを要求した。一方、現地では天候に恵まれ、原木を搬出しやすくなったため集荷が進み、丸太の供給が増加。米林業大手ウェアーハウザーは「日本の顧客は厳しい環境にあり、値下げに応じた」と話す。  日本国内の需要は力強さに欠ける。新設住宅着工戸数は2017年7月から18年3月まで9カ月連続で前年実蹟を下回った。指標となる米松KD平角の卸価格(東京地区)は1立方mあたり5万8,500円と、7カ月連続 で横ばいが続く。  競合品となる集成材の値上がりも一服している。国内需要の3割ほどを占める輸入集成材の場合、欧州大手が17年に減産を実施。競合他社がシェア拡大を狙い目本向けの供給を増やしているほか、減産していた企業の生産回復で需給バランスが緩んだ。円高・ユーロ安もあり、現在の流通価格は弱含んでいる。  国内の集成材メーカーは、原料となる引き板材「ラミナ」が値上がりしているものの製品価格に転嫁できていない。梁に使う集成平角(4m×10.5cm×30cm〕は、1立方mあたり6万2,500円と4カ月連続で横ばいが続いている。  おる商社は「年内の価格は弱基調で推移しそう」と話す。ただ、19年10月に予定する消費増税に向けた駆け込み需要で住宅投資が盛り上がれば、木材市況は反転する可能性もあるとの見方も出ている。 【北米産丸太】  米国やカナダを産地とした、米松を中心とした針葉樹を総称していう。輸入した丸太は住宅の建築用部材に使う米松KD平角などの製材品に加工される。  日本木材輸入協会(東京・江東)によると、北米産丸太は輸入丸太の8割ほどを占める。北米産丸太の輸入量は近年安定した水準で推移してい る。一方、マレーシアなど主に東南アジアから輸入され、住宅の内装材に使う合板の原料となる南洋材丸太は産地の伐採規制などで輸入量が大幅に減少している。

日経 2018年06月19日朝刊

 

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