不動産だよりロゴ

不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

国産合板が最高値 流通価格6%上昇 ロシアの禁輸影響

 住宅の壁や床に使う国産針葉樹合板の流通価格が2021年11月以降、最高値の更新を続けている。4月中旬時点の価格は3月比で6%上昇した。米国の住宅バブルで木材の価格高騰が続く中、ロシアが3月に対ロ制裁の報復として始めた日本への合板材の禁輸が値上がりに拍車をかけた。輸入合板の価格も上昇しており、住宅の値上がりにつながる可能性がある。  指標の針葉樹合板(厚さ12mm品)は現在1枚1,800円と、3月と比ベ100円(6%)上昇した。最大手のセイホク(東京・文京)など合板メーカーが4月出荷分から打ち出していた値上げが浸透した。07年7月に付けた最高値1,240円を21年11月に突破した後、最高値を更新し続けている。  背景には合板の原料となる国産木材の奪い合いの激化がある。現地報道によるとロシアは3月、ウクライナ侵攻を受けて対ロ制裁に踏み切った欧米や日本を「非友好国」に指定。ロシアから合板材料の単板の供給が止まった。日本の合板メーカーは国産のスギやヒノキなどへの切り替えを迫られた。  折しも21年以降、柱・はりをつくる国内の製材所は「ウッドショック」で北米産木材の供給量が減り国産材に乗り換えているさなか。その結果、合板メーカーと製材所との間で「国産の丸太の取り合い」(商社)となっている。国産丸太の逼迫感が強まり、農林水産省によると合単板用スギ丸太の3月価格は1立方m1万5,700円(工場着)と、2月から200円(1.3%)上昇し前年同月と比ベ4割高い。  需要はコロナ下の在宅勤務の定着で旺盛だ。リフォームや郊外への引っ越しが増えている。国土交通省の建築着工統計調査によると、2月の新設住宅着工戸数は21年2月に比ベ6.3%増えた。特に建売住宅は10.7%増と需要をけん引しており、ある商社は住宅向け木材の需要が「過去10年間で最も好調だ」と話す。  国内の合板在庫は低水準にある。合板メーカーの間で供給に十分とされる在庫量は1カ月の出荷量の7割以上が目安になっている。2月の在庫は9万3千立方mで、出荷量の3割程度に過ぎない。商社は「出荷する分を確保できるか不安になる水準だ」と語る。品切れになる前に合板を確保しようとする問屋など需要家の心理も価格の押し上げ圧力となっている。  木材以外のコスト増も追い打ちだ。単板を貼り合わせて合板にする際に使う接着剤も値上がりしている。接着剤のフェノールの国内価格は、原油高を受けて4月まで4カ月連続で上昇している。  輸入構造用合板も現在1枚1,950円前後にあり3月と比べ75円(4%)高い。主要供給国のマレーシアでは、21年に雨期が長く続き、原木の伐採ができなかったうえ、コロナによる外国人労働者の不足で供給が減った。  欧州ではロシアからの合板調達を控える動きも出ており、東南アジアからの輸入増加が予想される。  輸入合板をめぐり、日本勢は欧州勢との争奪戦が迫られる。国産、輸入ともに合板も値上がりが続くとの見方が広がっている。

日経 2022年04月19日朝刊

 

Copyright (C) ADvance Forward Co.,Ltd. All Rights Reserved.