全国の銀行による不動産業向け融資の減少が顕著になっている。日銀によると、2018年の新規融資額は前年比5.7%減の約11兆1,100億円となり、2年連続で減った。スルガ銀行の不正融資問題を受け、金融庁が投資用不動産向け貸し出しへの監視を強めたことなどが背景にあり、貸出先の選別が進んだ。レオパレス21の施工不良問題も、逆風となりそうだ。
不正融資問題を受け、アパートローンなど個人の貸家業向け貸し出しが前年比16.4%減の約2兆8,300億円と、大きく減速したことが主因となった。
不動産業向け融資は、日銀の金融緩和で超低金利が長期化する中、比較的高い利回りが見込める分野として銀行が注力していた。特に個人の貸家業向けは、貸出先の確保を狙う地方銀行を中心に大きく伸びていた。
だが貸出残高が積み上がってくると、銀行はリスクの高まりを警戒し慎重姿勢となり、17年の新規貸出額は減少に転じた。18年には、スルガ銀やTATERU(タテル)で投資用不動産に絡む不祥事の発覚が相次ぎ、貸し出しの厳格化に拍車を掛けた。SMBC日興証券の田沢淳一シニアアナリストは「誰でも投資用不動産を買えるような状況は戻ってこない」と指摘し、新規融資の減少は続くと分析している。
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