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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

輸入合板が最高値 国産品薄で代替需要

 住宅の壁や床に使う輸入合板が一段と値上がりし、最高値を更新した。住宅向けの需要が堅調に推移する中、ロシア産木材の供給停止のあおりで国産合板の価格が高騰。輸入品の割高感が薄れ、品薄が続く国産品からの代替需要が増えた。マレーシアからの輸入が安定しないことも高値の一因で、住宅などの建築コストを押し上げている。  輸入合板の指標となる構造用(厚さ12mm品)の流通価格は現在1枚2,100円前後。前週比で50円(2.4%)高い。1カ月の上昇率は8%に達する。2021年9月に最高値を更新して以降も上昇が続く。建設現場でコンクリートを流し込んで固めるのに使う型枠用合板(12mm品)も75円(4%)上昇し、1枚1,925円程度となった。  国産品からの切り替え需要が値上がりの要因。ウクライナに侵攻したロシアが制裁への対抗措置として3月以降、合板材料となる「単板」の輸出を停止。日本の合板メーカーは国産のスギやヒノキの手当てを迫られた。製材所などとの調達競争で原料となる丸太の価格が上がり、国産合板は1年前より82%高い1枚1,900円前後で取引されている。  合板は通常、丸太を近隣で調達できる国産品の方が安い。国産の急速な値上がりを受け、輸入品との価格差は1年で3割縮小した。割高感が薄れた輸入品に需要が集まった。  国内の合板需要は好調だ。新型コロナウイルス禍で在宅勤務が定着し、新築・リフォーム向けの引き合いが強い。住宅着工も底堅く推移し、合板メーカーの生産が追いつかない。「国産合板は注文量の6割しか調達できないことがある」(木材商社)  農林水産省がまとめた国産針葉樹合板の4月末在庫は10万1,414m3。21年4月に比ベ2.3%少ない。1カ月の出荷量の4割程度にとどまり、需給均衡の目安とされる7割を大きく下回る。品薄の国産品を輸入で補う動きが広がった。  輸入合板の供給も安定しない。林野庁によると、主力のマレーシア産は3月の輪入量が7万100m3と前年同月比21%少ない。マレーシアでは21年の雨期が長引き、丸太の伐採が進まなかった。コロナ禍が長期化し、母国に戻った外国人労働者の再入国ができず、伐採現場が人手不足に陥った。  マレーシアでは「その日に出荷する丸太が確保されていないことさえあるようだ」(商社)。在庫が枯渇し、必要量を確保したい現地の合板メーカーなどが高値での調達に動いている。  主要建材の値上がりは、建築コストを押し上げそうだ。建設物価調査会によると、鉄筋コンクリート造の集合住宅の4月の工事原価は前月比0.9%、木造住宅は同0.2%上昇した。建築現場ではコストを抑えようと「型枠を再利用する回数が増えている」(型枠メーカー)という。

日経 2022年05月28日朝刊

 

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