住友不動産販売は不動産仲介のデジタル化に着手した。土地や物件の情報を、取引先である6千社以上の宅建業者に一括で提供する専用システムを導入。従来は各店舗の営業担当者が電話で取引先に伝えるなど人手に頼っていた。社員の業務効率化や取引の透明性を高め、新規顧客の開拓や取引件数の拡大につなげる狙いだ。
新たな仲介サービス「ステップオークション」には、戸建て開発やリフォームなどを手掛ける6千社超の宅建業者が参加する。住友不販売が集めた土地やマンションの売却情報を一括で提供。売却希望者には、提案のあった全業者の買い取り価格などを伝える。
新システムは9月上旬に首都圏のマンション向けに導入する予定で、10月からは投資用物件を含め全ての案件を全国で扱う。導入の利点は業務効率化が進む点だ。住友不販売はこれまで270店舗で働く営業担当者が数十社の地元業者などに電話やFAXで情報を送っていたが、「人海戦術では紹介できる企業数に限界があった」(青木斗益副社長)。
住友不販売の業者間の不動産取引は年1万件を超える。同社によると、デジタル化に伴い営業マン1人当たりで週7〜8時間の労働削減が見込めるという。新たに生まれた時間は個人客への相談や説明に充てる。
不動産業界はトラブルの回避などを目的に書類を作る紙文化が色濃く残る。高額商品でもあるため現場に行き対面で説明する習慣も根強い。
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