マンションの管理組合が総会で、低額の電気供給サービスを一括導入するために、個別の電気契約を解除するよう全住民に義務付けた決議の有効性が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷は5日、決議は共用部分の変更や管理にしか認められず、専有部分には及ばないとして「無効」との判断を示した。
マンションは一般的に、住民が個別に電気契約を結んでいるが、このサービスは、管理組合が住民の代わりに電気を受け取る。「一括受電」と呼ばれ、経済
産業省によると、推計で全国約60万戸(部屋数ベ−ス)で導入。今後採用する場合は、一部住民が反対すると導入が難しくなりそうだ。
区分所有法は、マンション共用部分の変更や管理は住民が集会で決議すると規定。岡部喜代子裁判長は「個々の住民の契約解除は専有部分の使用に関する事項であり、共用部分の管理や変更ではない」と指摘した。
組合は決議のほか、規約を変更し、契約解除を求めたが、判決は「規約で定められるのは住民相互間の事項で、今回は該当しない」とした。
判決によると、札幌市のマンション(計544戸)の管理組合は2014〜15年、北海道電力から一括受電するため、各住民に従来の電気契約の解除を義務付ける決議をした。住民2人が反対して実現せず、別の住民1人が低額の電気料を導入できなかったとして損害賠償を求め提訴した。
最高裁は、訴えを認めた札幌地裁と高裁の判決を破棄。原告の逆転敗訴が確定した。
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