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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

建設用棒鋼が最高値 13年半ぶり更新 鉄スクラップ高響く  ゼネコン、値上げ受け入れ

 マンションなどの鉄筋に使う異形棒鋼の取引価格が、13年半ぶりに最高値を更新した。指標品は東京地区で1カ月前に比べて9%高い。原料である鉄スクラップの価格高騰を理由に鋼材メーカーが値上げを表明。建設案件の増加が見込まれる秋を前に調達を急ぎたいゼネコンなどが受け入れた。建設コストの上昇要因となる。  異形棒鋼の指標となる16mm品の大口需要家渡し価格は、東京地区で1トン12万2,000円前後。前月に比べて1万円(9%)高く、20年夏の底値からは9割上昇。2008年10月に付けた11万2,500円を上回った。  小口向けのスポット(随時契約)価格も上昇した。東京地区は棒鋼16mmのスポット物が1トン当たり12万4,000円前後。前月に比べて7,000円程度(6%)高い。  電炉大手の東京製鉄は18日、5月分の契約価格を1トン当たり3,000円引き上げ、異形棒鋼は10万2,000円にすると発表した。同社が毎月公表する契約価格は、電炉各社が販売方針を決める目安となっている。共英製鋼も19日、5月契約分の販売価格を1トン当たり1万円(約9%)引き上げると発表した。  値上げの主因は原料価格の高騰だ。異形棒鋼は電炉会社が主に製造する。電炉が主原料とする鉄スクラップは、標準品「H2」の電炉買値が東京地区で1トン6万5,750円前後。1月下旬の直近安値に比べて25%高い。  国内の鉄スクラップは建物の解体作業が減り、市場に出回りにくくなっている。22年に入ると、中国の鋼材需要に対する期待もあって値上がり基調が強まった。3月にはロシアのウクライナ侵攻で供給不安が広がり、価格上昇に拍車がかかった。スクラップの溶解に使う電力の価格は、原油や液化天然ガス(LNG)の高騰で上昇している。  需要は堅調だ。国土交通省の建築着工統計によると、2月の鉄筋コンクリート(RC)造の着工面積は前年同月比31%増の192万1,000平方mだった。新型コロナウイルス発生前に比べると力強さを欠くが、物流倉庫などの建設は底堅い。  電炉各社はこれまでも値上げを打ち出していたが、中小規模のビル建設が振るわないなどの理由から、部分的にしか通らなかった。原料には先高観もある。  今回の値上げ表明で「ゼネコンも受けいれるしかない状況」(鉄鋼商社)となった。5月の大型連休明けに大きな建設案件が控えているゼネコンもあり、今のうちに調達したいとの動きもでている。  異形棒鋼の販売会社の幹部は「メーカーはこれまでの値上げ分を販売価格に転嫁しきれていない」と話す。データセンターの建設など、需要は回復するとの見方が多いが、資材高に対するゼネコンの警戒感は強まっている。さらなる値上げが需要に響く可能性もある。

日経 2022年04月21日朝刊

 

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