国土交通省は本年度から、百貨店、老人ホームなど不特定多数の人が出入りしたり、高齢者や障害者が利用したりする既存建物のバリアフリー改修を支援する。スロープやエレベーターの設置、通路幅を広げる費用に補助金を出す。施設の規模にかかわらず対象とし、バリアフリー化が遅れている小さな飲食店やスーパー、診療所なども対応を促していく。
社会資本整備総合交付金を活用し、改修費の3分の1を国が負担。車いす用トイレ設置、カウンターの高さを低くする工事なども想定している。
バリアフリー法は、床面積2千平方m以上の百貨店や老人ホーム、ホテル、病院、体育施設などを新築、増改築する際、通路幅やトイレ、エレベーターなどの設備を国が定める基準に適合させるよう義務付けている。一方、既存の建物や2千平方m未満の場合、適合は努力義務にとどまり、国交省担当者は「費用負担が大きく、改修に乗り出せない事業者も多い」と説明している。
国交省の補助は従来、人口の多い三大都市圏など一定規模以上の都市部を対象に、駅前整備に合わせてスロープやエレベーターなどを設ける工事に限っていた。本年度からは、地方を含め、市町村が基本構想などでバリアフリーを重点的に進めるとした地区に対象を拡大、既存建物の改修も支援する。
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