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バス北遠撤退へ 代替手段検討へ3指針 遠鉄と浜松市地元説明

 浜松市の北遠地域で運行するバス路線の大半を2019年9月末で撤退する方針の遠州鉄道と同市は12日、撤退を検討している路線の一つ、北遠本線(水窪町−山東間)の利用者がいる同市天竜区佐久間町で地元の代表者らを対象に説明会を開いた。他の交通事業者への路線移管などを同社と協議している市が、3本柱として代替手段検討の指針を示した。  代替策について市は、1.地域の住民サービスを低下させない2.高齢者等の交通弱者が利用しやすい運行計画3.持続可能な方法での運行−を重点に検討することを伝えた。  遠州鉄道の担当者は、乗務員の確保難や高齢化が深刻化している現状を説明し、「地域事情に合わせて運行形態を見直さなければ、全体の公共交通の維持が難しい」と理解を求めた。  参加者からは「通学や通勤、通院、買い物などにおいて大切な路線。19年9月末に代替は間に合うか」「利用者の声を実際に聞いてほしい」などの意見が出た。  同社担当者は「歴史も含め重要性は認識している。今と同じ形態で残すのは難しいが、関係各所と持続可能な公共交通の形を協議する」と答えた。  「住民の足を守ることに協力したい気持ちはもちろん強い。ただ、うちも人材不足が深刻」。遠州鉄道や浜松市が協議する路線バス北遠本線の水窪町−山東間の代替運行について、地元交通機関の一つ、水窪タクシー(同市天竜区水窪町)の守屋孝社長(54)は苦しい胸の内を語った。  従業員は現在14人で平均年齢は60歳以上。マイクロバスの営業運転に必要な中型2種免許の取得支援も条件に乗務員を募っているが、2年間で採用は1人。地域から若者が流出し、年齢を重ねてから2種免許を取る人も少ない。「過疎や高齢化が進み、採算が合わない北遠地域では人材確保が一層厳しい」と肩を落とす。  同社はタクシー業のほか、水窪町、佐久間町内でふれあいバスやスクールバスなども運行中。5月からは同区龍山町の土砂崩れの影響で運休している北遠本線一部区間の代替運行も週3日担っている。「朝、夕方のお客が集中する時間帯は火の車」と勤務態勢にも不安を募らせる。  北遠本線の代替について「本来は乗客の人数だけに注目せず、利用実態に合わせて路線を考えるべきだが、国鉄時代からの歴史ある路線のダイヤ、料金の大幅な変更はできないだろう」と指摘。「地域全体でどのような形で協力できるのか考える必要がある」と話した。

静岡 2018年10月13日朝刊

 

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