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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

集成材2年ぶり下落 住宅向け 輸入材増え需給緩む

 住宅の梁(はり)や柱に使う国産の集成材の流通価格が2年ぶりに下落した。資材高による住宅価格の上昇の影響で足元の新設住宅着工数が伸び悩むなか、輸入材の増加などを受けて木材需給の逼迫感が薄れてきている。国産針葉樹合板も上昇が一服した。高騰が続いていた木材相場に変化の兆しがあらわれた。  国土交通省の建築着工統計調査によると、6月の新設住宅着工は前年同月比2.2%減の7万4,596戸。2カ月連続でマイナスとなった。持ち家は同11.3%減と2桁台で減少。持ち家の減少は7カ月連続で、前年の伸びが大きかった反動から減り幅が大きかった。  木材市況も落ち着いてきた。集成材は指標となる集成平角(4m×10.5cm×30cm)は東京地区の流通価格が1立方m14万円(中心値)。2021年10月より15万円で高止まりしていたが、20年7月以来の下落となった。  日本は住宅に使う木材の半分を輸入に頼る。新設住宅着工が減ってきたなか、集成材の輸入が増加し需給が緩和している。貿易統計によると、1〜6月の集成材輸入量はおよそ56万4千立方mと前年同期比で25%増加した。欧州やロシア、中国などから多く入ってきているという。  ある集成材メーカーは「今年に入ってからは物流混乱が解消してきており、海外から潤沢に入ってくるようになった」と話す。木材問屋は「港の在庫がかなり積み上がっている」という。  木材が不足するウッドショックやロシアのウクライナ侵攻を受け、木材商社などは木材の供給不安から積極的に調達しようという動きが強かった。だが住宅需要が弱くなり始め、在庫がだぶつきだした。特に欧州材は契約を結んでから日本に到着するまでにタイムラグが生じるため、直近の需要との差が生まれやすい。  集成材の原料となる引き板材「ラミナ」の対日輸出価格も2四半期ぶりに下落した。主力の欧州産の7〜9月期価格は、梁向けが1立方mあたり430〜470ユーロ。前四半期(4〜6月期)から150ユーロ(25%)ほど下落した。日本側の買い意欲が落ち込み交渉は長期化し、契約量は減った。  国産合板は指標の針葉樹合板(厚さ12mm品)が、東京地区の問屋卸価格で1枚2,000円と6月から横ばいだ。21年11月以降、最高値を更新していた。住宅需要の減速や、ロシアから合板材料となる単板の調達が出来なくなり製材所との間で取り合いになっていた原料の国産丸太の価格が落ち着いてきた。  国産合板の高値を背景に輸入量が急増していた中国産の針葉樹合板は、需要減から注文に減速感が出てきた。ここにきて値下がりする例も出てきているという。  ただ木材製品の価格水準は当面、高値圏で推移しそうだ。集成材は値下げしても需要が鈍いため、価格調整には消極的とされる。ラミナも7月から入荷されているのはロシアのウクライナ侵攻で急反発した4〜6月期契約分で、円安もあり高値。国産針葉樹合板は在庫が依然として少なく「生産時に使う接着剤価格の高騰や物流コストの上昇があり、下がる状況にはない」(合板メーカー)という。 【集成材】  住宅の梁(はり)や柱に使われる部材。あらかじめ乾燥処理を施した板や角材を接着剤で張り合わせた木材で、加工をしていない無垢(むく)材に比べ強度が強く、施工後、年月がたってもゆがみなどが出にくいとされる。

日経 2022年08月02日朝刊

 

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