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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

省エネビル 5年で11倍 再生エネ活用や自家発電 消費ゼロ「ZEB」工場も

 省エネや再生可能エネルギーの活用により、実質的なエネルギー消費量を減らした建物が急増している。事務所などの非住宅建物で一定基準以上の削減が認定された件数は5年で11倍に増加。削減が難しいとされる生産区域の一部も含めてエネルギー消費を実質ゼロにした大規模工場も登場した。ただ、着工件数に占める認定の割合は低く、脱炭素に向けては加速が必須だ。  2050年の脱炭素社会の実現を目指す政府は、30年度以降に新築する中・大規模の非住宅建築物に関し、用途に応じてエネルギー消費量を30〜40%削減したものにする目標を掲げる。  空調や照明などの省エネと太陽光による自家発電などを組み合わせ、消費するエネルギー収支が実質ゼロになることを目指した建物は「ZEB(ゼブ)」と呼ばれる。実質的なエネルギー消費量を一定程度減らしたと認定された数は21年度に342件となり、16年度の31件から11倍に増えた。  沖電気工業は7月、生産設備を動かす電力を除き、建物のエネルギー消費量を実質ゼロにする埼玉県本庄市の工場を本格稼働した。外壁、屋根の高断熱や細かいエネルギー制御で、生産区域の一部も含めて使うエネルギーを同規模の建物より50%以上省いた。その上で、必要な電力を屋根に設置した太陽光パネルで賄う。  森孝広社長は「環境対策は避けては通れず、事業に組み込むことが使命だ」と話す。  ただ経済産業省によると、20年度に着工した非住宅建築物のうち、エネルギー消費量の削減の基準を満たしたと認定されたのは全体の0.4%にとどまった。同省担当者は「省エネや太陽光パネル設置などの設備投資がネックになっている」と分析。政府は導入を後押しする補助事業を実施しており、新技術の実証も進める。 【ZEB】  英語の「Net Zero Energy Building」の略称。「ゼブ」と呼び、消費する年間の1次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物を指す。空調や換気、照明、給湯、エレベーターなど建物内で消費するエネルギーをできるだけ減らす一方、太陽光発電などによりエネルギーをつくることでZEBに近づけられる。消費エネルギー削減の達成状況に応じて、4段階のレベルに分かれる。

静岡 2022年08月07日朝刊

 

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