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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

静岡県61%全国15位 東海4県の集住率 菊川市10年で6ポイント増 駅周辺の道路整備

 東海4県では2020年までの10年間に、約半数の自治体で住民の居住地を集中させる「集住」が進んだ。全国の3割を上回る。都道府県別では愛知県の集住率が全国7位、静岡県は15位だった。人口が減っても行政サービスなどを集中配分し、生活を持続可能にするため、自治体は移住を誘導したり民間に開発を促したりと対策を進める。  集住率は総務省の国勢調査人口等基本集計を使い、「1km2当たりの人口が4,000人以上」といった条件を満たす人口集中地区の人口を総人口で割り算出した。集住が進めば、訪問介護職員が一定の時間内に巡回できる戸数が増えたり、自治体が水道をはじめ行政サービスを効率運営できたりするなど様々な利点がある。  東海160市町村でみると83市町で集住率が上昇した。最も伸びが大きかったのは愛知県阿久比町で、24.2ポイント増えた。09年に名古屋鉄道などによる開発面積約32haの大規模団地「陽なたの丘」の販売が始まり、子育て世代が移り住むようになった。団地の最寄り駅の名鉄河和線阿久比駅は特急が止まり、名古屋市内まで30分程とアクセスが良いのが特徴だ。  教育をはじめとした行政の施策も、集住を促進させる要因になる。阿久比町は教育に関心の高い子育て世代を呼び込むため、05年度から幼児、小中学生の交流を深める「幼保小中一貫教育」を進める。13年には定員260人の認可保育所を建てるなど共働き世帯にも移住の魅力を訴える。  伸び幅が16.1ポイントと2位につけた岐阜県東部の瑞浪市も、JR瑞浪駅南側の一帯に居住を誘導し、その中に病院や店舗、役所を集める計画を進めている。21年4月に35年までを期間とし、集住を促進する「立地適正化計画」を公表。一定区域で人口密度を維持しながら拠点間の交通網拡充を目指す。  10年の初めに4万1,000人を超えていた瑞浪市の人口は現在、3万7,000人を割り込んでいる。その間にアイシン系のAT(自動変速機)メーカーが進出。「人口減が進むなかで新工場が稼働したことで、集住が進んだ」(都市計画課)とみる。近年は名古屋のベッドタウンとして人気もあることから、市はコンパクトシティーの推進を本格化している。  静岡県菊川市も立地適正化計画を策定した市町村の一つ。集住率は10年で6ポイント増え23.6%になった。 JR菊川駅周辺を居住誘導区域とし、分断されていた駅の南北をつなぐ道路を整備するなど住民の利便向上を図った。商業施設やマンションが建設された効果も大きいと担当者は話す。  伸び幅が10.1ポイントと5位に入った御殿場市は首都圏に近く「市中心部の農地が住宅に転用される動きが進んでいる可能性が高い」(都市計画課)と推測する。  集住率そのものの市町村別順位では、名古屋市(98.7%)など愛知県の7市町が10位内に名を連ねる。残りは静岡県の清水町(90.4%)、長泉町(90%)、静岡市(89.3%)が入った。  清水町の面積は県内最小規模で、大半が人口の集中する市街化区域だ。静岡市はJR静岡駅周辺に病院や行政機関、飲食、小売店などが集積し「中心街で再開発が進んだ」(市の担当者)。駿府城跡の周辺に官民が連携してテラスを整備するなど、街の魅力づくりに力を入れる。  都道府県別の集住率は愛知県(78.8%)が7位。同県では21年6月時点で全54市町村の半数以上の28市町が立地適正化計画を公表済みか作成中という。静岡県(61.6%)は15位だった。同県も21年12月時点で県内35市町の17市町が立地適正化計画を策定済みだ。  全国31位(43.7%)の三重県の一見勝之知事は「人口が一都市に集中せず分散し、これにもメリットがある」と指摘する。ただ、今後は人口減少や高齢化が進み「行政サービスを提供する中でまとまって住む方が利便性が高くなる。時間がかかるかもしれないが市町でコンパクトシティー化が起きてくるかもしれない」と話す。  岐阜県(40.8%)は36位だった。県は市町村を対象とした担当者会議を毎年開くなど「集約型の都市づくりを推進する必要性や手続きについて周知を進めている」(都市政策課)という。

日経 2022年01月08日朝刊

 

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