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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

住設納期 2ヵ月遅れも TOTOなど 東南アで部品調達滞る

 冬のリフォーム需要を目前に住設機器の納期遅れが深刻化している。TOTOは温水洗浄便座の納期が1?2カ月ほど遅れるほか、YKKAPでも高断熱窓の納期が1カ月弱遅れる。新型コロナウイルスの感染が拡大したことで東南アジアからの部品調達が滞るほか、コンテナ不足による物流混乱も響いている。巣ごもり消費で国内外でリフォーム需要は旺盛だが、生産遅延が回復し始めた消費の下押しになる可能性もある。  「欲しい型のトイレが届かないので、一旦別の型の製品を仮置きしている」。神奈川県の中堅住宅メーカーは頭を悩ませている。人気の温水洗浄便座のメーカー在庫が品薄で納期までに届かないが、トイレなしでは顧客に家を引き渡せないためだ。顧客の同意を得た上で違う商品を取り付けて引き渡し、発注していたモデルが届き次第、後から交換しているという。  TOTOでは主力の温水洗浄便座「ウォシュレット」の納期に足元で1?2カ月を要している。本来は「即納品」として在庫から1週間足らずで納品する商品のため、納入先の住宅メーカーにも影響が広がっている。  遅れの背景はべトナムの部品調達先が新型コロナの感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)で一時生産停止となり、9月ごろから部品が届かなくなったことだ。TOTOの清田徳明社長は「徐々に回復しつつある」とするが、納期遅れの解消の時期の見通しは立たない。世界的な半導体や電子部品の調達難、コンテナ不足など物流混乱も足かせとなっている。  LIXILもトイレの納期が1?2カ月遅れている。TOTOからの代替受注が一時殺到した影響もあり、供給ペースが乱れた。「遅れのヤマは越えたが、完全回復は2022年2月下旬になりそう」(同社)  部品調達以外で遅れているのはYKKAPだ。21年9月以降、サッシ部分を樹脂でつくる「樹脂窓」の納期に1カ月前後かかっている。7月に生産ラインを増設しフル稼働状態にあるが、断熱性能が高いことが人気で需要が供給を上回る状態になっている。  住宅メーカーは納入遅れに備え、住設機器の手配に動く。大和ハウス工業ではメーカーに住設機器を早めに手配しており、足元でも住宅の引き渡し遅れなどには至っていないという。飯田グループホールディングスも「在庫を確保しているので問題ない」とする。一方で「この状況が続けば、年明け以降に住宅の供給を絞らざるを得ないかもしれない」(大手住宅関係者)との懸念もある。  一方、中堅中小の住宅メーカーや工務店の間では既に遅延の影響が広がっている。中小は手がける物件数が少ない分、確保できる住設機器の在庫が限られるためだ。  需給が逼迫しているのはコロナ下での旺盛なリフォーム需要も背景だ。国土交通省によると21年7?9月の住宅リフォームの受注高は前年同期比16%増の9,902億円。21年4?6月から2四半期連続で増加した。在宅時間が増え、家の設備を快適にしようとする需要が高まった。  冬は消費者がリフォームを考える節目の時期で、納期遅れが長期化すれば消費回復の重荷になりかねない。TOTOの清田社長は「事業継続計画(BCP)として他地域での生産も進める」と話し、サプライチェーン(供給網)の見直しを進める方針だ。

日経 2021年12月29日朝刊

 

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