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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

隣接地 売買しやすく 所有者不明地 増加に対応 来年度にも 境界確定手続き緩和

 法務省は所有者の不明な土地に隣接する不動産を売買しやすくする。取引時に必要な隣接地との境界確定の手続きで地主の承諾書類の提出要件を緩める。所有者不明の土地が増えるのを見据えて土地取引の滞りを防ぐ。  2022年度にも適用を始める。  所有者が土地を売却したり分割したりする場合、隣接地の地主と「筆界確認書」と呼ぶ土地の境界を確認する書類を取りかわすのが一般的だ。隣接する地主の署名や記名、押印が必要になる。  土地取引の際、省令に基づき境界を調査する法務局の登記担当者が確認書の提出を求めてきた。法務省は近く全国の法務局や専門家らと提出要件の緩和を協議する。  22年度にも筆界確認書を不要にする事例の指針をつくり、全国の法務局に通知する方針だ。  法務局が土地の境界情報を持っている場合、所有者不明の土地が隣接するときなどに書類の提出を省くことができるよう検討する。法務局が地籍調査などで保有する土地の境界情報は、全国の土地面積の5割以上を占めるとみられる。  法務局が境界情報を保有していないケースでも隣接地主を把握する規定を緩和する。隣接地が相続を通じて複数人で共有している場合、全員ではなくても深すことのできた所有者から承諾を得れば確認書の効力を認める方向だ。  これまで法務局では確認書の提出が受けられない場合、専門家が現地を調査する「筆界特定制度」の利用を促してきた。土地の境界をめぐるトラブルが起きたときのための制度で、費用に加え手続きに時間がかかるという課題があった。  相続に伴い土地の所有関係が複雑になり、所有者がわからない土地が増えている。確認書作成のため相続人探しの労力がかかるケースが目立つ。  所有者不明土地は民間有識者らが17年にまとめた報告書で、40年に北海道の面積に迫る720万ha程度に膨らむとの試算がある。政府は先の通常国会で所有者不明土地の解消を目指す関連法を成立させるなど急ぐ。

日経 2021年12月27日朝刊

 

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