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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

オフィスの賃料下落 今年上期 東京新築、3年ぶり低さ

 新型コロナウイルス禍に伴う企業のオフィス需要の減退で、賃料水準が下がっている。日本経済新聞社のオフィスビル賃貸料調査によると、2021年上期の東京の新築ビル(築後1年未満)の賃料を示す指数は上期として3年ぶりの低水準まで下がった。既存ビルでも上昇幅が縮小し、オフィスの需給バランスの崩れが目立っている。  賃貸料から算出したオフィスビル賃貸料指数(1985年2月=100)は東京の新築ビルが171.45となり、20年上期から15.97ポイント下がった。上期は20年まで3年連続で前年同期を上回っていたが、4年ぶりに下げに転じた。  20年下期と比べると4.06ポイント上昇した。21年は大型を中心とした新規ビルの供給が少なく各物件はおおむね埋まりつつある。ただ一部の「売れ残り」が高値の物件として賃貸市場に出て、指数の上昇要因となった可能性がある。  市場では22年以降に完成する新築ビルの需給の緩和を予想する声も出ている。  21年上期の既存ビルの指数は161.12で前年同期と比べて3.84ポイント上がった。20年上期は前年同期比10.27ポイント、20年下期は同5.74ポイント上昇していたが、徐々に上昇幅が小さくなっている。  既存の高額物件に空きが生じて賃貸市場に出たという背景もあるようだ。ザイマックス不動産総合研究所(東京・千代田)は「1年前なら募集がかかっていないような物件の空室も出ている」と指摘する。  オフィス仲介大手の三鬼商事(東京・中央)によると、東京都心5区の空室率は、昨年2月の1.49%を底に上昇。今年3月は5.42%と、空室が多くなった目安とされる5%を2カ月連続で上回っている。  大阪のオフィスビル賃料指数は新築ビルで197.26。20年下期より5.45ポイント下がった一方、20年上期からは5.91ポイント上がっており、ならしてみると全体としては横ばい圏との見方が多い。  既存ビルは155.06で前年同期から8.21ポイント、20年下期からは7.72ポイント上がった。賃料への影響はまだ出ていないが地域によって空室が目立つ場所もあるようだ。空港への便が良い難波では旅行会社などコロナ禍で打撃を受けやすかった業種が多く、退去が目立ったという。

日経 2021年05月01日朝刊

 

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