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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

地方マンション相場上昇 広島・仙台、坪単価2桁の伸び タワー物件けん引

 首都圏などでマンションの供給が減少傾向にあるなか、地方都市でタワー物件の開発が目立っている。不動産大手が駅周辺など一等地の再開発に加わり、供給を増やす構図だ。とりわけ高所得者層の人気を集める物件が増え、地域のマンション相場を引き上げている。  「岡山最高層タワーレジデンス」。両備ホールディングスや三井不動産レジデンシャルが岡山市中心部のイトーヨーカドー岡山店跡地で手掛ける「杜の街グレース 岡山 ザ・タワー」は情報サイトでこううたう。  この物件は地上37階、高さ134m、総戸数363戸(賃貸を含む)で8月に竣工予定だ。随一の眺望のほか、岡山駅が徒歩圏内で、百貨店、オフィス、公共施設などが立ち並ぶ通りに隣接する利便性も注目されている。分譲する345戸は全て売れた。  近年、地方の主要都市でこうした大規模な再開発が相次ぐ。  東京カンテイ(東京・品川)の調べでは、20階建て以上のタワーマンションは2020年末時点で全国に1,389棟・36万4,560戸ある。20年は全国で40棟・1万2,148戸が供給された。  都道府県別の20年の供給戸数は、東京都が9棟・2,814戸と最多。愛知県が7棟・1,049戸、神奈川県が5棟・1,674戸、大阪府が5棟・1,597戸と続く。首都圏、近畿圏、中部圏の3大都市圏以外で最多は福岡県の4棟・1,506戸だった。  20年に全国で完成した最高層の物件は三菱地所レジデンスなどが広島市で手掛けた「hitoto 広島 The Tower」の53階建てだ。同市では16年にも住友不動産が52階建ての「シティタワー広島」を完成させている。  21年に三大都市圏外では北海道、山形県、福岡県でそれぞれ2棟が竣工する予定だ。岡山県のほか宮城県、広島県、熊本県でも1棟の供給が見込まれている。  地方都市でタワーマンションが増えるにつれ、地域での販売価格は総じて上がっている。東京カンテイによると、広島市の新築マンションの平均坪(3.3平方m)単価は20年に184万2千円と19年と比べて32.3%上昇。10年以降で最も高くなった。  仙台市の新築マンション1戸あたり平均価格は5,825万円で3年連続上がった。平均坪単価は253万9千円で同14.9%上昇。価格も単価も10年以降の最高額を2年連続で更新した。  地方都市の再開発を手掛ける不動産大手や不動産仲介会社によると、こうした物件を購入するのは、その地域の経営者、医師、弁護士、有力企業で共働きする世帯など高額所得者が中心。株高などで金融資産が膨らんだ恩恵も働いている公算が大きい。「希少性があるので、高めの価格でも買い手がつく」限り、タワー物件が供給されれば相場も上がる状況が続きそうだ。

日経 2021年04月24日朝刊

 

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