国土交通、経済産業、環境3省は19日、建物の脱炭素化に関する有識者検討会の初会合を開いた。新築住宅も省エネ基準適合を義務付けるべきだとの意見でおおむね一致し、住宅の規模に応じて段階的に規制する案などを今後、議論する。義務化すると建築価格の上昇や、ノウハウを持たない中小工務店の対応が課題となる。検討会は関係団体の意見も聞き、6月に結論をまとめる。
建築物省エネ法は、ビルや商業施設など中規模以上の新築建築物に適合を義務付ける一方、住宅や小規模なビルなどは対象外。省エネ基準を満たす新築住宅は2019年度実績で81%だった。
検討会は田辺新一・早稲田大教授を座長に、建築の専門家や平井伸治鳥取県知事らが参加。「日本は住宅の省エネ化が遅れている」「新築住宅は取り組みが進んでおり、規制強化の条件が整ってきた」など、義務化を求める声が目立った。
ただ、二重サッシ採用などで建築価格は割高になる。国交省のアンケートによると、中小工務店の半数はエネルギー消費量の計算ができないと答えるなど建設現場の習熟も課題だ。会合では住宅の規模に応じて段階的に義務化したり、行政が費用を補助したりする案も出た。
検討会では太陽光発電パネルの設置義務化も焦点。ただ、立地によって日照時間に差が出やすく、費用もかさむことから、まずは普及促進策に力を入れるべきだとの意見が多かった。
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