政府、与党は16日、2021年度税制改正で、地価上昇のため固定資産税の負担が重くなる土地を対象に、21年度の税額を20年度と同額に据え置く方針を固めた。新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化を踏まえ、土地所有者の負担増を回避する狙い。22年度以降の扱いは、新型コロナの感染状況や地価動向を踏まえて今後検討する。
固定資産税は土地や建物にかかる地方税。土地については3年に1度、前年1月1日時点の公示地価を基に評価額を見直し、これを受けて税額が決まる。21年度は評価額の見直し時期に当たるが、新型コロナの影響を考慮し、今年7月1日時点の基準地価も加味して算定する。
しかしコロナ以前の景気拡大を反映して1月の公示地価は全国的に上昇。7月の基準地価で減額修正しても、多くの地域では3年前より固定資産税額が増える可能性があり、経済団体などから負担軽減を求める声が出ていた。特に訪日客増加に対応したホテル進出など商業地の需要が活発で、地価が上昇していた地域では、新型コロナによる地域経済への打撃が大きい中、税負担増となる懸念が強まっていた。
与党の税制調査会で今後詳細を議論する。商業地、住宅地など全用途が対象となる見通しだ。
これとは別に、地価の上昇が大きい場合に固定資産税の負担が急増しないよう課税標準の上昇幅を抑える仕組みがある。この仕組みも21年度から3年間延長する方針。
【固定資産税】
土地、家屋などを課税対象とする地方税。1月1日時点の所有者に納税義務が発生する。固定資産はどの自治体にも広く存在するため、税源の偏りが比較的小さいとされ、基幹税として市町村税収の約4割を占めている。総務省が示す評価基準に従い、市町村が「評価額」を算出。政策的な特例措置などを加えた「課税標準額」に税率1.4%を掛けて税額が決まる。
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