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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

投資マンション融資書類改ざん 金融庁も調査視野に アルヒ・アプラス 問題解明へ始動

 アルヒとアプラスによる投資用マンション向け提携ローンで審査書類が改ざんされていた問題をめぐり、関係者が実態解明に動き出した。事態を重くみている金融庁は両社への調査も視野に、貸金業者への監視を強める方針だ。  問題が発覚したのは、不動産業者から持ち込まれた投資用マンションの購入資金の融資申し込みを、アルヒがアプラスに仲介した案件だ。不動産業者から執拗な勧誘を受けて2018年に都内のマンションを3,000万円弱で購入した都内の20代の女性は、源泉徴収票の年収を改ざんされていた。  この女性は、転職を考えて異業種交流会に参加した際に親身に相談に乗ってくれた男性から「転職も大事だが投資も大事だ。知人にファイナンシャルプランナー(FP)がいるから紹介させてほしい」と言われた。紹介されたのはFPではなく不動産業者だった。  無職で年収も300万円未満であることを理由に断ったが、勧誘は続いた。この業者は「ローンを申し込みましょう。ローンが通らなければ売れないので」と語った。今の年収であれば、審査は通るわけがない。勧誘から解放されると考えた女性は業者の指示に従い、アルヒとアプラスの提携ローンの申込書に「年収650万円」と記入した。  勤務先欄にはすでに退社した会社を記載した。会社に在籍確認の連絡をすれば、当然申請は却下されると考えた。だが、業者の回答は「審査が通りました」だった。こうした書類の改ざん案件は少なくとも10件以上、明らかになっている。  アルヒは「フランチャイズ(FC)店は書類の不備、誤った記載をチェックするのみで、収入、顧客属性、物件の評価は一切行わない」と説明している。  融資を実行したアプラスと、融資案件を仲介していたアルヒはすでに実態解明に動き出した。  貸金業者を監督する金融庁の幹部は「誰が不正に気づいて止めるべきだったのか。融資にかかわった業者は改ざんへの関与の有無以前に『ゲートキーパー(門番)』としての役割を果たせていない」と指摘。不正をチェックできていない体制も問題視している。  スルガ銀行での不正融資問題を受けて金融庁が18年に銀行などを対象に実施した調査では、借り入れ希望者の年収状況などを必ず原本で確認すると答えたのは25%にとどまった。不動産業者を経由して資料を手に入れる銀行も多く、ずさんな融資審査が目立った。金融庁は当該会社を含めた貸金業者を対象にした調査も視野に、管理体制が適切か監督を強める。

日経 2020年02月14日朝刊

 

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