不動産だよりロゴ

不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

マンション管理 品質見える化 業界団体など評価指標作成へ 良しあし、資産価値に反映

 マンションの管理会社などが管理の品質を適正に評価する指標作りに乗り出している。管理状況の良しあしを資産価値に反映してもらい、中古マンション売買の活性化などにつなげる狙いだ。首都圏の新築マンションの販売価格が高止まりするなか、中古の人気は高まっている。策定した管理指標が普及すれば、消費者の購入時の目安となる可能性がある。  マンション管理会社でつくるマンション管理業協会(東京・港)は「マンション管理適正評価研究会」という研究会を立ち上げた。不動産協会(東京・千代田)や不動産流通経営協会(東京・港)などのマンションの売買や開発に携わる約10の業界団体も加わっている。  研究会は管理に関する情報を中古マンションの価値に反映させるための評価指標を作る。管理状態の総合評価をよい方から「S」「A」〜「D」の5段階で示す案を軸に検討を進めている。管理組合の議事録の有無や法定点検を実施しているかといった項目ごとにポイント化し、その合計の数値で総合評価する。  管理状況の見える化が進めば、住人や持ち主が資産価値を高め、維持する努力がしやすくなる。評価指標の認知や普及が進めば、高い評価を得た物件は築年数や立地で算出される従来の中古相場を上回る売却額や販売価格となる可能性もある。  現在の商習慣では中古マンションの管理状況については、購入者が契約を締結する直前に知ることが多い。新たに策定する評価指標をいつ、どのような対象者にまで公表するかについては、今後議論を進める。  新たな評価指標は売買価格を左右するだけでなく、住民が支払っている管理費が適切かを示す基準になる可能性もある。  管理会社では人手不足に伴い、人件費の上昇が続いている。52万戸の分譲マンションの管理を手掛けている東急コミュニティーでは、契約更新のたびに管理費を2〜5%値上げしている。  管理の水準が客観的に示せるようになれば、管理会社も住民に水準に見合った管理費を請求しやすくなる。住人も適正かを見極めやすくなる。  これまでもこうした取り組みはあった。  マンション管理センター(東京・千代田)は06年に国土交通省の助成をうけ、管理状況を公開する「マンションみらいネット」を始めた。だが数万円という登録料や更新費用のほか、PR不足もあり、利用する管理組合は現在約370にとどまる。  こうした反省を踏まえ、今回の取り組みは費用負担を抑えるほか、消費者の利用率が高い不動産サイトで情報を見られるようにすることを検討する。研究会は新たな評価指標を20年度にも設ける方針だ。  研究会に加わる三井不動産系の管理会社の三井不動産レジデンシャルサービスの高松茂会長は「最初から完成形を目指すのではなく、まずはスモールスタートを目指したい」と話す。

日経 2019年11月10日朝刊

 

Copyright (C) ADvance Forward Co.,Ltd. All Rights Reserved.