三菱UFJフィナンシャル・グループは国内で初めて、不動産や社債などをデジタル証券として取引する仕組みを作る。知的財産も含めあらゆる資産を高度なデジタル技術で証券化し、国内外の機関投資家から個人まで買えるようにする。少額での資金調達を検討するスタートアップ企業の需要にも応える。
テジタル証券は2020年4月の改正金融商品取引法の施行で、金融機関の取り扱いが可能となる。三菱UFJは20年度中のサービス開始を目指す。個人も機関投資家も参加する新たな市場を作る。資金調達する企業や取引システムを利用する金融機関を呼び込み、手数料で稼ぐビジネスの拡大を狙う。
不動産や知的財産、社債などの資産をトークン(デジタル権利証)として発行する。株式は扱わない。資産の証券化や管理は三菱UFJ信託銀行が担う。大量のデータをブロックチェーン(分散型台帳)で自動で処理するため、少額の取引にも応じられるようになる。新サービスでは100円程度から買うことができる見込みだ。
今の個人向け社債の最低購入額は100万円程度にとどまっている。これまでは利息の払い込み、売買による権利移転といった事務は人手に頼っていた。
決済は即時に行う。株式や社債は売買確定から、代金が移るまでに2日かかっていた。
不動産や知的財産の証券化商品は少なく、個人の売買は限られている。低金利で社債の投資魅力が薄れるなか、利回りが期待できる不動産への投資機会が増える。
企業の資金調達手段は株式や社債だけでなく、不動産や知的財産をもとにした調達もできるようになる。社債では数十億円以上の発行が多いが、少額の調達が可能だ。
三菱UFJはこのほどNTTやKDDI、三菱商事など資金調達を検討する企業など20社超が参加する団体を立ち上げた。技術面では米国でデジタル証券の運営を手掛けるセキュリタイズとブロックチェーン開発のレイヤーX(東京・港)と協力する。サービス開始に向け実証実験を進める。
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