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最大雨量洪水マップ公表33% 「千年に一度」備え、進まず 国交省集計 本県は6市町が済み

 想定される最大の雨量に合わせた洪水ハザードマップを公表している市区町村が、水防法による義務付け対象自治体の33%(3月末時点)にとどまることが30日、国土交通省の集計で分かった。最大の雨量は「千年に1度レベル」とされ、2015年の同法改正で「数十年から100年に1度レベル」の旧基準に代わるマップ作成基準になった。大規模水害が多発する中、速やかな改定が求められる。  台風19号では、過去最大の24時間降水量を観測した地点が103カ所に上った。関西大の山崎栄一教授(災害法制)は「過去の災害のデータや経験は通用しなくなっている。自治体がマップ作成を進め、住民にリスクを自覚してもらうことが急務だ」と訴えている。  国交省によると、浸水が見込まれる区域がありマップ公表が義務付けられた市区町村は全国1,347。うち旧基準では1,323市区町村(98%)が公表済みで、現行基準に合わせて公表済みなのは447市区町村(33%)だった。  本県の作成対象市町は29。このうち旧基準での公表は28に上るが、現行基準での公表は6市町だった。  4月以降の状況は集計していないが、現時点では改定版を公表済みの自治体のほか、改定したが未公表の自治体もあるという。  改正水防法では、まず国と都道府県がそれぞれの管理河川流域で浸水想定区域や水深を予測し、これを基に市区町村が避難所の位置や避難経路などを盛り込んだマップを作成、公表するよう定めている。市区町村からは、都道府県の予測作業に時間がかかっていることがマップ作成の遅れにつながっているとの指摘がある。国の予測作業は全て完了している。  国交省は昨年の西日本豪雨を受け、全国の自治体に最大想定の新基準に対応するよう要請し、台風19号後の今月21日にも早期の改定を促す通知を出した。だが都道府県も市区町村も、財政難や人手不足から思うように作業が進められないのが現状だ。 【ハサードマップ】  洪水や土砂災害、津波などの危険がある場所や、想定される被害の程度を示した地図。洪水ハザードマップは2005年の水防法改正で市区町村に作成が義務付けられた。まちづくりや避難訓練などに活用し、被害抑止につなげてもらう狙いがある。市区町村は戸別配布やホームページ掲載などで地域住民に周知を図っている。

静岡 2019年10月31日朝刊

 

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