ホテルや病院などの大型建物を対象にした耐震診断に関して会計検査院が調べたところ、耐震性が不十分と判定された建物のうち、約4割が未改修のままだったことが29日、分かった。このうち約3割については、自治体が一度も指導や助言をしていなかった。
2011年の東日本大震災を受けた法改正で、国は1981年5月以前の旧耐震基準で建てられた大型建物の所有者に交付金などを出し、耐震診断と自治体への結果報告を義務付けている。自治体は
改修が必要な場合、所有者に指導できる。
検査院は2013〜17年度に交付金を受けて耐震診断を実施した14都道府県の約5千棟を抽出。震度6強〜7程度の地震で倒壊や崩壊の危険性が高いと判定された3,789棟を調べた。
その結果、改修中または改修済みが1,260棟、未改修のままが1,536棟(交付額計約25億円)。残る993棟(同計約11億7千万円)については、改修の有無を自治体が確認していなかった。
未改修の建物のうち、診断後5年以上たつものが426棟あった。458棟(同計約4億2千万円)は、自治体が一度も指導や助言をしていなかった。
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