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県内建築関係者ら推進協設立 伝統の古民家 活用へ連携 情報一元化し発信

 県内でも増加傾向にあるとされる古民家をはじめとした空き家を保全しようと今夏、建築関係者らが「しずおか民家活用推進協議会」を設立した。「古民家には日本の伝統的な建築様式が詰まっているのに、所有者が意義を知らないことが多い」と関係者。今秋から活動を本格化させる。  協議会は、空き家の再生に取り組むNPO法人や建設業者、不動産業者ら約120人で組織する。既に把握している空き家の活用法を模索し、メールマガジンやウェブサイトを通じた情報発信を図る。  9月中旬、静岡市清水区折戸の旧・柴田醤油醸造所の当主宅に関係者が集まった。「県内でも指折りの古民家。これほどまでに保存状態が良好な明治時代の母屋は全国でも少ないでしょう」と協議会の松永和広さん(65)。醸造所は1909年創建で、母屋と長屋門がほぼ当時のまま残る。協議会は11月に同所でのイベントを企画している。  協議会によると、これまでにも県内で空き家の活用を模索する動きは複数あったが、情報の一元化が課題だった。当主宅も、松永さんが中心メンバーの「静岡民家の会」が維持管理してきたが活用に苦戦。他の団体と同会が連携することで再利用への道が開けた。  加えて協議会が注力するのが、空き家の所有者と利活用希望者の仲介。各団体が持ち寄った空き家情報は、古民家を中心に東部伊豆から中東遠までの11件。現在は加盟団体内での共有に限っているが、近く協議会のサイトで公開するという。  松永さんは「これまでは他機関との連携不足で把握が間に合わず、魅力的な古民家が壊されてしまう例が少なくなかった」と強調。今後は保全に向け、購入や活用を希望する人の情報も積極的に共有する意向だ。 【空き家 全容把握急務】  県内では全県的な空き家調査は行われていない。しずおか民家活用推進協議会の関係者は「正確な情報の把握が急務」と調査の必要性を強調する。  県住まいづくり課によると、国による5年に1回の住宅・土地統計調査では2018年10月時点で、賃貸・売買対象や別荘などを除いた県内の空き家数は約8万7,800戸。ただ、統計上の計算式に基づいて算出された数値で、各市町の実数の積算ではないため「実際に何件あるかは分からない」(担当者)。未調査の市町もあるという。  協議会によると、空き家増加の背景には少子高齢化や人口減とともに、若者の首都圏流出が挙げられる。両親が死去後、家を放置する事例も散見されるという。事務局の松永和広さんは「所有者を把握できなければ、居住実態がなくても活用にはつなげられない。空き家の全容把握は急務」と訴える。 【旧・柴田醤油醸造所「愉しむ」イベント 来月23日、清水区】  しずおか民家活用堆進協議会は11月23日、文化イベント「折戸の名家探訪『旧・柴田醤油醸造所』を知る、愉(たの)しむ」を静岡市清水区折戸の同醸造所当主宅で開く。  古民家としての当主宅の価値を広く伝える狙い。同市出身の六代目春風亭柳朝さんの落語会や、学識者による建築講座を開催するほか、空き家対策の相談も無料で受け付ける。地元の酒蔵の日本酒飲み比べや、弁当と総菜の販売も実施する。  午前10時から午後4時半まで。入場無料だが、2部制の落語会は有料(1,000円〜1,500円、先着順)。  問い合わせは協議会事務局<電054(367)4774>へ。

静岡 2019年10月29日夕刊

 

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