個人の住宅取得を後押しするため低金利で貸し出す住宅ローン「フラット35」が投資目的に悪用された疑いがある問題で、住宅金融支援機構は30日、105件の不正と49件の不正疑い事案を確認したと発表した。いずれも東京都の不動産業者が関与した契約。借り手に融資残額の一括返済を求めるとともに、借り手と業者双方に対し法的措置を検討する。
機構は完済分を除く全国約72万件(2018年度末時点)の契約全てを点検しており、さらに多くの悪用が発覚する可能性がある。
賃貸に出す目的で買った物件を居住用と偽ったり、購入価格を水増ししたりして融資を申し込んでいた。業者は販売実績を上げられ、ローンの借り手はうまくいけば家賃収入で返済できる手口だ。機構は「一連の手続きは業者らの指示で進められた」と認定した。
調査によると、借り手の多くは20代〜30代前半の単身会社員で、東京近郊の1千万〜2千万円台の中古マンションを購入していた。17年前後の時期の融資契約が大半だった。
機構は昨年9月、外部からの情報提供で不正疑惑を把握。この業者が関わる113件(総額約23億円)の融資対象物件について、購入目的や居住実態の有無を調べた。うち105件の不正を確認し、残り8件は調査に時間がかかっている。49件は調査過程で新たに不正の疑いが見つかった融資で、別の業者も関わっているという。
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