東京都千代田区はごみ置き場や駐輪場などの設備を備えていない新築マンションを規制する条例を制定する方針を固めた。地価の上昇で開発費用が膨らむなか、住民生活に欠かせない設備を省いてコスト削減する物件を防ぐ狙いだ。条例案には悪質な事業者に懲役刑を科す内容も盛り込まれる見通しだ。
早ければ9月区議会に提出する。同区によると、薬物乱用防止や暴力団排除以外の目的で懲役刑を科す条例は全国でも珍しいという。
対象は区内に新築される分譲・賃貸マンション。マンション管理の適正化を推進する条例案で、事業者に計画段階での区との協議を求める条項を設ける。区は協議でごみ置き場や駐輪場などの設置を確かめる。防音や防臭などの構造や、緊急連絡先などの表示板の有無も確認する意向だ。
協議は建築確認の申請前に行い、こうした設備を持たない物件の建設を未然に防ぐ。基準を満たさない場合は是正を指導する。指導に従わず悪質性が高い事業者の代表者に最高で6カ月の懲役を科す。
千代田区の人口は4万人を下回る時期もあったが、近年の都心回帰の流れで増加傾向が続く。2017年4月には36年ぶりに6万人を超えた。転入者の受け皿はマンションで、区民の約9割がマンション居住という。
不動産経済研究所によると、首都圏の新築マンションの平均価格は19年上半期で6,137万円と、7年連続で前年同期を上回った。同区によると、価格を抑える目的で、住民生活に欠かせない設備を軽視する物件が複数建てられている。
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